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癌患者への抗酸化剤療法----放射線療法の効果を妨げない [ビタミンC]

<放射線療法の効果を妨げない>
 CTCA(Cancer Treatment Centers of America:全米癌治療センター)統合医学のTimothy Birdsall副院長らは「前立腺癌向け外部照射放射線療法への臨床腫瘍反応における自然療法の併用効果」という研究を行い、癌患者における抗酸化剤の投与が、放射線療法への干渉リスクなしに必要な栄養補給を可能とすることを,ボストンで開かれた第3回統合腫瘍学会国際会議で報告した。


<PSA値に差異認められず>
 筆頭研究者のBirdsall副院長らは今回の研究で、放射線療法後の前立腺癌患者における前立腺特異抗原(PSA)値を測定したところ、抗酸化剤投与の有無による差異は認められなかった。なお、この抗酸化剤には、緑茶エキス・メラトニン・高用量マルチビタミン剤・ビタミンCとEが含まれる。

 この研究は、従来の癌治療と栄養補助食品の併用に関する臨床上の懸念に対して全米癌治療センターが取り組んだもので、化学療法/放射線療法による殺腫瘍プロセス=癌細胞に対する酸化障害が、抗酸化剤により緩和されてしまうのではないかという懸念に対応したものである。

 同副院長は「この研究により、今日の癌治療においてきわめて重要となっている相補代替医療(CAM)の1つである抗酸化剤は外部照射放射線療法を妨げるものではないことが証明された」と述べている。

 癌治療に当たって医学的に一般的な選択肢は、先端的な放射線療法・化学療法・外科手術であるが、これらの療法による副作用は、患者の心身にきわめて大きな負担を強いるものである。通常療法の長所と、科学的な裏づけに基づいたCAMが完全に統合された全人的な医療モデルの適用により、癌患者のQOLは向上できる。

 同副院長は「今日、癌の治療において、腫瘍のみに注意を向けていたのでは、患者がまず不十分と言うであろう。完全に統合された全人的なアプローチが重要とされている。そして,癌患者と介護者は、自分たちでCAMを捜し求めるまでになっている」と述べている。

 癌患者の80%以上はなんらかのCAMを用いており,その多くは医師の監督を受けていない。しかし医師の監督なしにサプリメントを併用することには、深刻な安全性リスクが伴う。
 例えば,西洋オトギリソウ[Catsduke注:St.John's Wortのこと]エキスは抗鬱薬に用いられるが、化学療法の効果を低減し、その結果、効果よりも副作用のほうが大きくなってしまうこともある[Copyright 2007 DoctorsGuide.com]



【コメント】
 悪液質の改善や免疫能の向上、酸化ストレスの低減には、抗酸化ビタミン、とくにC・Eが効果的ですが、通常医学のパラダイムに浸る医師がそれを投与することは稀です。

 また、放射線治療が、基本的に過酸化水素による癌細胞の障害を機序としている以上、カタラーゼ以外に、それを消去できるだけの抗酸化ビタミンが薬理量投与のおかげで体内で飽和していれば、種々の副作用が低減できます。現に、かつてコロラド大学(プラサド教授)では放射線治療とビタミンC投与を併用していました。

 また、以前の記事に以下のようなものが有ります。

==================================================
高用量ビタミンC療法--癌患者の免疫機能とQOLが改善

 癌患者に対するアジュバント療法の1つとして,高用量ビタミンC療法がある。

 独・フーフェラント・クリニック(Hufeland Klinik)のWolfgang Wöppel博士は「複数の試験で,この治療により癌患者の免疫機能が改善し,QOLが向上することが証明された」とPascoe Naturmedizin社の記者会見で発表した。


【ビタミンCの静注投与を併用】
 Wöppel博士は「総合医学の概念からすると,腫瘍は非特異的な免疫機能低下の徴候である」と指摘。このことから,癌患者に対しては手術が成功しても,全身の免疫機能に影響を及ぼす非特異的な治療を行うよう推奨している。

 特に高用量ビタミンC療法は,生体の解毒と再生を目的とする基本的な生物学的療法の1つである。同博士によると,同療法では,患者は入院中に1日1回1gのビタミンCを服用し、追加で平均1週間に1回7.5〜30gのビタミンC(Vitamin C-Injektopas 7.5g)の静注投与を受けるという。さらに,退院後も家庭医のもとでこの治療を継続するよう勧めている。

 また,例えば乳癌患者を対象とする複数の試験で、癌に対するこうした総合的な免疫生物学的療法によりQOLが向上することが証明された。乳癌患者を対象とするある後ろ向き調査では,高用量ビタミンC療法下で特に胃腸症状と中枢神経症状の発現率が低減していた。

 さらに、フーフェラント病院の癌患者3,000例中5例(600分の1)がこの高用量ビタミンC療法などにより寛解に至った。一方、従来の治療法を全く行わずに癌の消退が認められるいわゆる自然寛解率は8万分の1であるという[Medical Tribune 06年5月11日 (VOL.39 NO.19) p.06記事にCatsdukeがリンクその他を補足]

【追記】
 本ブログの新しい記事「《書評》ビタミンCがガン細胞を殺す」もご参照下さい。


 なお、ビタミンC一般に関しては、以下の一般書・専門書を参考にしてください。

村田 晃『新ビタミンCと健康―21世紀のヘルスケア』共立出版(1999)


ポーリング博士のビタミンC健康法』平凡社(1995)


Pauling & Cameron『 Cancer and Vitamin C』(1993増補版)


木本 英治『l-アスコルビン酸カスケード』開成出版(1994)

三羽信比古『ビタミンCの知られざる働き―生体への劇的な活性化メカニズム』丸善(1992)

三羽信比古『バイオ抗酸化剤プロビタミンC―皮膚障害・ガン・老化の防御と実用化研究フレグランスジャーナル社(1999)

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catsduke

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by catsduke (2007-03-11 07:14) 

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