SSブログ

JAMAの「抗酸化ビタミンは恐い」情報操作に対抗:LPIディレクターが論破。[翻訳] [抗酸化剤]

 Oregon大・ライナス・ポーリング研究所のHP掲載文書を拙訳。慌てて訳したので誤訳等あればご指摘下さい。とりあえずは大意さえ取れればよいと割り切って下手くそな訳文にお付き合い下さい(Catsduke Poitrine拝)

==================================================


メディア・リリース
【欠陥のある方法論に基づいて抗酸化ビタミンの危険性を引用するメタ解析】

 最近発表された、ある研究は、抗酸化サプリメントが持つ健康リスクを指摘するに際して、欠陥のある方法論に基づいてなされており、大抵は肯定的な結論に帰結するはずのエビデンスに目配りして総体的に捉えるということを全くしようとしていないと、当オレゴン州立大学ライナス・ポーリング研究所の専門家が本日[070227]発表した。

 JAMAの今週号[注:JAMA. 2007;297:842-857]で公表されたその研究では、ビタミンAとEのような抗酸化サプリメントが死亡率を著しく増加させると結論づけ、ビタミンCが死亡率の減少に対して肯定的な効果を持つと立証するエビデンスは何ら存在しないとしていた。

 しかし、ビタミン・フィトケミカル・微量元素が健康に持つ価値を研究する世界有数の研究所である、当ライナス・ポーリング研究所の教授であり、ディレクターでもあるBalz Freiは「この新しい研究が、数多くのin vitroな実験結果や動物実験やヒトの疫学的観察・経験的データを無視しているだけでなく、他の数多くの肯定的な臨床試験の諸結果を無視した臨床試験をわざわざ選んで、それに注目しているものである。従って、これは欠陥を含むデータによる欠陥を持った分析であり、私たちが抗酸化剤の持つ真の健康上の効果を理解することに少しも寄与しないし、何の有益性もない」とFreiは述べている。

 「そこで指摘される害の代わりに、既存のエビデンスを全体的に捉えれば、食餌やサプリメントから得られる抗酸化成分は、心臓血管疾患やある種の癌や目の疾患や神経組織変成疾患のリスクを減らすことを含む、多くの健康上の利益をもたらしているし、加えて、抗酸化剤は免疫システムを増強し感染症への抵抗力を高める鍵である」とも彼は言う。

 「JAMAのメタ分析[とは、過去公表されたデータを用いた統計分析である]では、815件の抗酸化剤に関する試験を参照しながら、彼らの否定的な分析結果を導くために、その中から68件の試験だけを用いている」とFreiは述べている。そして、NCI(米国立癌研)および英国の有力医学雑誌ランセット誌で発表されている2つの大規模研究が除外されているが、そこでは抗酸化サプリメントの摂取によって、相当な健康上の利益が得られたことと死亡率の減少が示されているのだ

「もしこれらの大規模な2つの研究が含まれていれば、βカロテンのもたらす諸効果を例外として、死亡率の増加に関して報告された影響のどれも深刻なものはなかっただろう」また「本研究が特筆大書する<βカロテンやビタミンAのサプリメントを摂る喫煙者は肺癌発生率がより高くなる>という事実は、とっくに知られている有名な事実であるし、ビタミンAの度を越した高用量投与が副作用を増やすことも、大昔から知られていることに過ぎない」とFreiは述べている。

実のところ、この新研究全体が実証しているものは、抗酸化剤で生ずる害作用の存在を示した臨床試験や症例研究が存在することと、抗酸化剤の有用性を示す研究を意図的に除外することとを同一視しようとする、彼ら自身にバイアスが存在することの2つである」とFreiは述べている。

「彼らがレビューした試験の平均期間は2.7年で、従って、暗黙裡に導かれる結論は<抗酸化サプリメントの摂取を続けると3年未満で死に至るかもしれない>ということになる」とFreiは述べた。

「ビタミンサプリメントにそうした効果があるかもしれないと思うことが馬鹿げている。というのも、それを説明し得る何の生物学的メカニズムも同定し得ないからだ」とFreiは述べた。おまけに、死因が考慮されていないばかりか、彼らがレビューで扱った研究の多くでは確定もされておらず、従って、食餌や酸化ストレスと全く関係がない事故や原因を含んでいるかもしれないからである

「この研究に引用されたほとんどの試験が、疾病治療において、他の多くの栄養補助食品や医薬品を含む、複数の抗酸化剤投与や追加介入をテストしていたものだ」とFreiは述べた。

 「従って、根本的な健康問題や、多数のタイプの医学的治療・投薬・外科手術が全て、抗酸化剤に直接帰することができる効果を妨げたり覆い隠したりしているかもしれない。これらの試験は、疾病予防における抗酸化剤の有用性や、サプリメントは体内の酸化ストレスを低下させる意図した効果を有するのかに関して、私たちに何も教えるところはない」とFreiは述べている。「それはあたかも血清コレステロール測定もせずに、コレステロール低下試験を行うことのようなものである。そんな貧しいデザインの研究から、あなた方はどれほどの結論を導き出すことができようか」

【コメント】
 元記事
http://oregonstate.edu/dept/ncs/newsarch/2007/Feb07/vitaminstudy.html
 あちこちの医学・健康系サイトにほんの一部だけ、このJAMAの報告が引用されると、それを信じる輩が出てくる訳です。「あるある」の情報操作のようなもんです。マスメディアを通過しているアナウンス効果だけで信じてしまう訳です。そして自分で何の論文群も見たことがないくせに、危ないと思いこまされる訳です。

 そして、一般人であれ、薬剤師であれ、医師であれ、ナースであれ、栄養士であれ、自分は今までに、ろくすっぽ論文群も見たことがないくせに、洗脳されます。いや、むしろそれ故に危ないと思いこまされてしまう訳です。

 さらにタチの悪い輩は「ほら、やっぱりね」とばかりに、何も知らないくせに、「抗酸化ビタミンは恐い」とか何とか、ネットでいっぱしの書きこみなどして能書きを垂れるのです。ネットの表街道までいつから無責任な厨房の跋扈する2ちゃんねる化してしまったのか(嘆)

 こういう問題にコメントするからには、JAMAのような偏ったソース(のサマリー)だけではなく、ヨーロッパ[過剰医療反対派が多い]のジャーナル、例えばBritish Medical Journalはチェックしていて、さらに臨床栄養学関連ジャーナルたる、American Journal of Clinical Nutritionなど複数の栄養学ジャーナルをチェックしている人でないと話になりません。国内では日本ビタミン学会「ビタミン」誌程度はご愛読下さい(笑)

 ちなみにJAMAのサイトで、キーワード「Vitamin」で検索してみて下さい。全部ネガティヴな論文ばかりかと思えば、あにはからんや、有効性を示す論文も相当数出てきます。それもサンプル数も多いものがです。JAMAのような保守派の牙城さえでもそうなのです。だから、一定頻度で、それに対するネガティヴ・キャンペイン的研究が発表され、エピデンスを薄めようという動きが出てくる訳です。我々は「またか」とか「年中行事」とか呼んでいます(笑)


コメント(0) 
共通テーマ:健康

コメント 0

           医療用医薬品が買える! 三牧ファミリー薬局

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。