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過酸化水素は投薬時の重要因子 [抗酸化剤]

 薬剤療法では標準用量が多すぎる人少なすぎる人と個人の応答には差があることが多いが、これは細胞内過酸化水素量によるとする新説が、カンザス大学ローレンス校・薬化学のJeffrey Krise助教授とRyan Funk博士により提唱され、Molecular Pharmaceutics(2007; 4: 154-159)に発表された。

<薬剤の細胞内蓄積に影響>
 細胞内過酸化水素は酸化ストレスにより影響されることが知られており、ストレスが高まるとその産生量も増加する身体の過酸化水素産生は個人により異なり、これが薬剤の細胞内蓄積に作用しているようである。Krise助教授らは「処方する薬剤の治療指数幅が非常に狭い場合には、適切な投与量を推奨する前に,患者の酸化ストレスの程度と過酸化水素量の双方あるいはいずれか一方を考慮すべきだろう」と言う。

 同助教授らは「治療指数幅が狭い薬剤を処方することは,投与量の変化が比較的少量で,効果が得られなかったり、もしくは毒性量に至る蓄積となることを意味する。こうした薬剤としては,アミノフィリン・カルバマゼピン・炭酸リチウム・ワルファリンがある」と説明している。

 同助教授らによると、ヒトに起こる酸化ストレスはさまざまで、炎症などのように短期間であったり、高齢者や喫煙者や特定の疾病患者のように慢性的であったりする。考えられる緩和因子として、「ビタミンCやEなどの抗酸化薬の常用で、酸化ストレスが低下し、細胞内薬剤蓄積が緩和されるようである」と述べている。

 同助教授らはin vitro実験で、抗癌薬のダウノルビシンと培養したヒトの正常細胞と癌細胞を用い、数マイクロモル量の過酸化水素で短期亜毒性処理した際の応答を比較した。使用した用量の過酸化水素は、細胞の種類や物理化学的特性とは無関係に、細胞内ダウノルビシン蓄積を劇的に増大させた。

 同助教授は「過酸化水素は、薬剤の細胞内拡散速度を低下させると考えられるため、通常予想されるよりも多くの薬剤が蓄積した。今回の研究はすべて培養細胞系で行われたものであるが、得られた知見は治療との関連性がかなり高く、さらなる研究の根拠となる」と述べている。[MT誌07年7月26日 (VOL.40 NO.30) p.49]


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