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血中尿酸塩値が高いことがパーキンソン病のリスクに保護的に作用 [抗酸化剤]

 血中尿酸塩値が高いことがパーキンソン病(PD)のリスクに保護的に働いている可能性があると、ハーバード大学のグループがAmerican Journal of Epidemiology(166: 561-567。全文)に発表した。

 PDのドパミン作動性ニューロンの変性には酸化ストレスが関係している。強力な抗酸化物質である尿酸塩には神経保護作用が想定されることから,血中尿酸塩高値がPDのリスク低下を予測するか検討した。
 対象はHealth Professionals Follow-up Studyで93~95年に血液サンプルを提出した約1万8,000人の男性で、2000年までに84人がPDと診断された。各症例は出生年・人種・採血時期により2人の対照とランダムにマッチングされた。

 血中尿酸塩の平均値は症例群が有意に低値だった(対照群の6.1mg/dLに対し5.7mg/dL,P=0.01)。年齢・喫煙習慣・カフェイン摂取を調整後、血中尿酸塩値四分位の最低群と比べた最高群のPDの率比(RR)は0.43と有意に低かった(P=0.017)。この関係は採血から4年以内にPDと診断された症例を除外すると、さらに強くなった(RR 0.17,P=0.010)。

 同グループは「血中尿酸塩値を高める介入がPDのリスクを低下させ、進行を遅らせる可能性がある」と示唆している。[07年9月13日 (VOL.40 NO.37) p.68]

【コメント】
 「プリン体カットビール」という詐欺的商品があります。痛風患者にそこまでして飲ませたいのか(笑)と寒心に耐えませんが、リウマチ学会の専門医クラスなら一言の元に非科学的とおっしゃるでしょう。
 
 プリン体はRNAからできる=内因性なので、食餌由来のものが血液中にそのまま吸収され高値になる訳ではありません。「コレステロールが増えるから卵を食うな」というアホ話と全く同論理のトンデモ話で、生化学を無視した与太話です(因みにコレステロールの肝臓での一日生合成量は、ステーキ数枚分以上=食餌由来のものより遥かに多いのが常識です)。

 そもそも人間の血漿中の尿酸値は[針状]結晶化する限界まで高いことが知られています。しかし尿酸値の高い動物ほど長命だという事実があります。

 これはビタミンC豊富な果物を自由に摂取できたジャングルに、我々の先祖のサルがいた訳ですが、そこから出て世界に広がっていく際に、自身で作れる水溶性抗酸化物が尿酸しかなかったから、一種の代償的適応として尿酸値が高くなっていったということが言われています。すでにこの人類学的事実は医学の世界でも定説です。

 そもそもビタミンAの血漿中濃度が高ければ、尿酸値が高くても結晶化しないと言われています。そこからすれば痛風症状の出現には、分子栄養学的にはビタミンA不足があると言えます。
 また、上の話からもビタミンCの不足もベースにあると考えられます。その代償的に尿酸値が高くなっている可能性があるからです。そしてCが不足していればEの再生ができませんから、Eの不足も起こっているでしょう。通風の背景には、抗酸化ビタミンの代表A・C・Eの三すくみ的不足があり得るのです。
 従って、分子医学的には、これら抗酸化ビタミンをトータルにまずは薬理量摂取して症状を軽減し、のちにサプリメントとして維持量に減らして常に摂取していけば、アロプリノール(必須医薬品だが、肝機能障害で死亡例もある)などの痛風治療剤から離脱できるはずです(この点に関しては栄養療法に詳しい医師にご相談の上実施して下さい)。無論、水や[無糖の]野菜ジュースを多飲するなどの常識的対応も不可欠ですが。

 さて、この記事は、その尿酸が抗酸化作用からパーキンソン病予防に資するものであるという事実が書かれています。パーキンソン病は活性酸素との関わりの深い疾患ですから、至極当然の結果といえるでしょう。興味深い研究です。


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