NAC=N-アセチルシステインは統合失調症治療に有益 [抗酸化剤]
豪メルボルン大学・精神医学のMichael Berk教授らは、一部の肺疾患に対して粘液溶解薬として投与されるOTC薬のN-アセチルシステイン(NAC)は統合失調症治療に便益があると第20回欧州神経精神薬理学会(the 20th European College of Neuropsychopharmacology (ECNP) Congress")で10月16日に"N-acetyl Cysteine in Schizophrenia: A Double Blind Placebo Controlled Trial"というタイトルで報告した。
<病因に関与の可能性も>
Berk教授は「グルタチオン前駆体であるNACに有効性が見込めるという事実は、グルタチオン不足が統合失調症の病因に関与していることを意味しているのではないか」と述べた。
同教授らは、統合失調症患者140例を対象に、現在使用している向精神薬療法に対するNACの上乗せ効果を検討した。治療効果は臨床全般印象(CGI)重症度と陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)により評価した。
対象者のうち、69例を実薬群、71例をプラセボ群に割り付けた。111例が24週の試験を完了し、61例が中断後に診療を受けた。このような自然減は統合失調症試験では典型的であるという。
24週までに、実薬群ではCGI重症度が平均0.4ポイント減少したのに対し、プラセボ群では平均0.2ポイント減少した。PANSS陰性症状サブ尺度は実薬群のほうが平均1.8ポイント低かった(P=0.018)。しかし、治療終了後にこれらの差異は消滅した。
興味深いことに,実薬群はSimpson AngusスコアとBarnes-Akathisia総合スコアなどで錐体外路系症状を検討したところ改善が見られた。3例の重度有害イベントは入院で,治療不履行と関連しており、いずれもプラセボ群で生じた。
同教授は「この結果、NACは統合失調症の症状を一部改善したことから、病因にグルタチオン不足が関与していることが示された」と述べ「今後,被験者の数を増やしてさらなる研究を行う必要がある」と付け加えた。
(Copyright 2007 DoctorsGuide.com。”N-Acetyl Cysteine May Aid in Treatment of Schizophrenia: Presented at ECNP”)
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