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環境汚染とII型糖尿病の関連性の研究を [糖尿病]

 英・ケンブリッジ大学のOliver Jones、Julian Griffinの両博士らは、環境汚染とII型糖尿病の関連性をさらに研究すべきであるという論文"Environmental pollution and diabetes: a neglected association"をLancet(2008; 371: 287- 288)に発表した。


<両者に強い相関>
 Jones博士らは、残留性有機汚染物質(Persistent Organic Pollutants : POPs。殺虫剤を多く含む)と成人発症糖尿病の原因となるインスリン抵抗性の関係について研究する必要性を強調している。
 同博士らは、血中POPs、特に有機塩素系殺虫剤のレベルとII型糖尿病発症リスクのきわめて強い関連を証明したDuk-Hee Lee博士らのピアレビュー研究(Catsduke注:"Extended Analyses of the Association Between Serum Concentrations of Persistent Organic Pollutants and Diabetes" Diabates Care(2007;30:1596-1598。全文)を引用し、

「もちろん、相関が見られるからといって必ずしも因果関係があるとは限らない。しかし、もし本当に関連性があるのなら、健康上意味するところは大きい。現時点では、情報はきわめて限られている。II型糖尿病に関する研究は現在、遺伝子と肥満に集中している。公害などの環境要因の影響の可能性には全く配慮がなされなかったに等しい」と述べている。

 同博士の研究では、血中POPs値が低い患者では肥満と糖尿病との関連は見られなかった。つまり、血中POPs値が高くて痩せている患者は、血中POPs値が低くて肥満である患者よりも糖尿病リスクが高かった。

 Jones博士は「POPs曝露が糖尿病の原因であるという仮説をまず検証するために、細胞または組織の培養による研究を行うべきで、それにより真実かどうか知ることができる。POPsにこのような影響があるとすれば、次の段階として、罹患している可能性のある人に対する治療法を考えることになる」としている。

 1940年代にDDTが導入され、POPsは有効な殺虫剤として脚光を浴びた。しかし、DDTを含むこれらの化学物質の多くはレイチェル・カーソンの『沈黙の春』により野鳥と他の動物の数が減少した原因とされ、ヒトの健康への否定的な影響の可能性が指摘された。

 POPsの生物分解は緩慢であるため、これらの毒物の多くがかなり以前に使用が禁止されたものの、食物連鎖などによりヒトの血中に入り込んでいる。さらに、POPsは曝露後にきわめて長期にわたり体脂肪内に残存する。[MT誌08年4月3日(VOL.41 NO.14) p.06]
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