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十全大補湯のIL-12とIL-18の誘発作用と、その後のNKT細胞活性作用 [東洋医学]


 都立墨東病院・消化器内科部長の藤木和彦先生と昭和大歯学部(口腔解剖学教室)の中村雅典教授などが、論文「十全大補湯のIL-12とIL-18の誘発作用と、その後のNKT細胞活性作用」"IL-12 and IL-18 Induction and Subsequent NKT Activation Effects of the Japanese Botanical Medicine Juzentaihoto"(Int J Mol Sci. 2008, 9,p.1142.オープンアクセス論文=無料pdf])をInternational Journal of Molecular Sciences誌に発表した。

Abstract
In this study, we first measured some cytokine concentrations in the serum of patients treated with Juzentaihoto (JTT). Of the cytokines measured interleukin (IL) -18 was the most prominently up-regulated cytokine in the serum of patients under long term JTT administration. We next evaluated the effects of JTT in mice, focusing especially on natural killer T (NKT) cell induction. Mice fed JTT were compared to control group ones. After sacrifice, the liver was fixed, embedded and stained. Transmission electron microscope (TEM) observations were performed. Although the mice receiving the herbal medicine had same appearance, their livers were infiltrated with massive mononuclear cells, some of which were aggregated to form clusters. Immunohistochemical staining revealed that there was abundant cytokine expression of IL-12 and IL-18 in the liver of JTT treated mice. To clarify what the key molecules that induce immunological restoration with JTT might be, we next examined in vitro lymphocyte cultures. Mononuclear cells isolated and prepared from healthy volunteers were cultured with and without JTT. Within 24 hours, JTT induced the IL-12 and IL-18 production and later (72 hours) induction of interferon (IFN)-gamma. Oral administration of JTT may induce the expression of IL-12 in the early stage, and IL-18 in the chronic stage, followed by NKT induction. Their activation, following immunological restoration could contribute to anti-tumor effects.

[アブストラクト:Catsduke訳]
 本研究で我々は先ず十全大補湯(以下、JTT)による治療を受けた患者の血清中の各種サイトカイン濃度を測定した。長期投与患者の血清中では、IL-18の発現上昇が最も顕著であった。次に、JTTのマウスへの影響、とりわけナチュラルキラーT細胞(NKT)の誘導能に注目して評価するため、JTT投与マウスを対照群と比較した。屠殺後、肝臓を固定・包埋・染色し、透過型電子顕微鏡 (TEM) による観察を行った。免疫組織染色法では、JTT投与マウスの肝臓中で、IL-12とIL-18のサイトカイン発現が多いことが示された。我々は次にJTTによる免疫学的回復を誘導する中心分子が何かを明らかにするため、in vitroでリンパ球を培養して調べた。健康なボランティアから単核細胞が採取・準備され、JTT処理群/未処理群が培養された。24時間で、JTTはIL-12とIL-18の産生を誘発し、次いで(72時間で)インターフェロン-γを誘発した。JTTの抗腫瘍作用は、最初にIL-12とIL-18の発現を誘発、続いてNKT細胞を活性化することによるものと思われる。

[コメント]
 癌の補助化学療法といった、免疫学的には非科学的で、かつ患者のQOLを下げて、再発を早めるだけの治療は、海外の諸論文や阪大の胃癌に関する研究や、慶応大の近藤 誠先生の告発・啓蒙などによって、以前ほど無意味に行われることは少なくはなりました。例えば、5FUが経口(聞く筈が無い)で認可されていたのは日本だけだったからです。しかし、吐き気止めと合剤になり、化学構造を僅かに変えただけの詐欺のような経口剤がその後開発されるなど、日本の製薬会社の抗癌剤に対するパラダイムには疑義を抱かざるを得ません。

 以前から、例えば、大阪市大では、旧・第一生化学と第三内科が、十全大補湯の抗腫瘍活性をIFN-γとIL-2産生増強に見いだす報告を早くから行っていました(Japanese Journal of Allergology 1988;37:57-60)し、愛媛大などの研究では、十全大補湯のような漢方薬の「補剤」には、西洋医学で言う副作用も無く、癌手術後の患者の回復を助け、免疫力を高め、再発を防ぐ効果のあることが示されていました。補助療法としては、よほど漢方治療の方が意味のある投薬であることは今や論を俟たないでしょう。しかし、漢方というだけで、効果を疑うような向きも医家にはいないわけではありません。

 こうした免疫学的機序が示された研究が数多く出ることで、積極的に漢方薬が利用され、患者の体質改善がなされて、再発が防がれ、トータルで癌医療に関する医療費が抑制されることが望まれます。

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