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消化管カンジタがアレルギーを悪化させていた [感染症]

以下のような、喘息が抗生物質で悪化するのは腸内でカビが増殖するせいだという毎日新聞の配信記事を読んだので、元論文を検索した。Cell Host & Microbe, Vol 15, Issue 1, 95-102 ( 15 January 2014 )であった。で、翻訳してみた。

<ぜんそく>抗生物質で悪化も 腸内でカビ増殖
毎日新聞(2014年01月20日 11:11)

 抗生物質を服用することで腸内細菌のバランスが乱れ、ぜんそくの症状が悪化することを、筑波大や米ミシガン大などの研究チームが動物実験で確かめた。腸内にカビが増える一方で「善玉菌」の乳酸菌が減っており、ヒトにも同じ仕組みがあると見ている。成果は米科学誌「セル・ホスト&マイクローブ」電子版に掲載された。
 研究チームの渋谷彰・筑波大教授は「アレルギー発生のメカニズムは基本的に同じなので、花粉症やアトピー性皮膚炎など、他のアレルギー性疾患の治療にも役立てることができる」と話している。
 ぜんそくやアトピー性皮膚炎などの発症には、腸内細菌が影響していることが知られているが、その仕組みはわかっていない。
 研究チームは、マウスに5種類の抗生物質を2週間投与した後、人工的にぜんそくを発症させて詳しく調べた。そのうち、感染症治療に使われる抗生物質を投与したマウスは、投与しないマウスに比べて気管支での炎症細胞の数が倍増し、ぜんそく症状が悪化した。腸内を調べたところ、乳酸菌が減り、代わりにカンジダというカビの一種が異常に増殖していた。カンジダを抑える薬を投与することで症状は改善した。
 渋谷教授は「抗生物質により腸内細菌のバランスが崩れ、ぜんそくが悪化することを証明できた」と話す。【相良美成】

Gut Dysbiosis Promotes M2 Macrophage Polarization and Allergic Airway Inflammation via Fungi-Induced PGE2

[Summary]
 Although imbalances in gut microbiota composition, or “dysbiosis,” are associated with many diseases, the effects of gut dysbiosis on host systemic physiology are less well characterized.
 We report that gut dysbiosis induced by antibiotic (Abx) treatment promotes allergic airway inflammation by shifting macrophage polarization in the lung toward the alternatively activated M2 phenotype.
 Adoptive transfer of alveolar macrophages derived from Abx-treated mice was sufficient to increase allergic airway inflammation.
 Abx treatment resulted in the overgrowth of a commensal fungal Candida species in the gut and increased plasma concentrations of prostaglandin E2 (PGE2), which induced M2 macrophage polarization in the lung.
 Suppression of PGE2 synthesis by the cyclooxygenase inhibitors aspirin and celecoxib suppressed M2 macrophage polarization and decreased allergic airway inflammatory cell infiltration in Abx-treated mice.
 Thus, Abx treatment can cause overgrowth of particular fungal species in the gut and promote M2 macrophage activation at distant sites to influence systemic responses including allergic inflammation.

以下、拙訳。
「腸内毒素症はカンジタ誘導性PGE2を介してM2マクロファージの分化とアレルギー性気道炎症を促進する」
[アブストラクト]
 腸内細菌叢構成のインバランスないしは腸内毒素症は、多くの疾患と関連しているが、腸内毒素症が宿主の全身性の生理機能に対して与える効果は未だ十分に位置づけられていない。
 我々は抗生物質治療により起こる腸内毒素症 (Abx)が、肺マクロファージが極性化し、活性化したM2表現型マクロファージにシフトすることで、アレルギー性の気道炎症を促進していることを、ここに報告する。
 Abx処置マウスからの肺胞マクロファージの養子移植によって、アレルギー性気道炎症を増悪させることができた。
 Abx処置は、腸内に共生するカンジタ真菌の異常増殖をもたらし、PGE2の血漿中濃度を上げ、肺中M2表現型マクロファージの極性化を誘導する。
 アスピリンやセレコキシブのようなシクロオキシゲナーゼ阻害剤によるPGE2合成の抑制は、Abx処置マウスのM2型マクロファージの極性化を抑制し、アレルギー性気道炎症性細胞浸潤を減少させた。
 それ故、Abx処置は腸内の特定のカンジタ菌種の異常増殖を引き起こし、アレルギー性炎症を含む全身性の反応に影響するような、遠隔部位におけるM2型マクロファージの活性化を促進する。

 ということは、以上から分かることとして、喘息が改善しなかったり、アトピーが悪化して抗生物質を常用してたりするような患者は、抗生物質の服用を止め、ファンギソンシロップなどの抗真菌剤を服用しつつ、オリゴ糖とRー1などの生きて届く乳酸菌を取りまくって、消化管カンジタを殺して、腸内細菌フローラを善玉菌優位にすれば、炎症は改善するということになるはずである。


 もちろん、アレルギーを悪化させ炎症体質をもたらしているプロスタグランジンE2を減少させるためには、リノール酸(=γリノレン酸)摂取を減らし、E2と拮抗するE3を得る為に青魚を食べたりサプリメント(処方薬なら持田エパデールなど)を利用したりで、ω6/ω3比を改善するためにEPAの摂取量を増やすことで、脂肪酸摂取のインバランスが前提として正されていなければならないでしょうが。

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