SSブログ
ビタミンC ブログトップ

ビタミンC点滴療法~安全かつ種々のがん種に適用可能:第11回国際統合医学会 [ビタミンC]

 高用量のアスコルビン酸を点滴静注するビタミンC点滴療法は,副作用が少ない安全ながん療法として,統合医学の領域では広く知られている。東京都で開かれた第11回国際統合医学会〔会頭=健康増進クリニック・水上 治院長〕の特別講演「VC点滴療法の抗がん効果とその検証」(座長=点滴療法研究会・柳澤厚生会長,日本ビタミンC協会・藤井毅彦代表)でカンザス大学(米カンザス州カンザスシティー)医療センターのQi Chen助教授は,最新の研究知見を踏まえながら同療法の効果および作用機序を検証,同療法は安全かつ種々のがん種に適用可能であると報告した。
【細胞外液にH2O2を送達】 
  VC点滴療法は,安全性が高く種々のがん種に適用可能な治療法であり,10カ月間の治療で両側の肺転移が消失した腎がん例や,同療法で9年以上無病生存している進行膀胱がん例,2週間の放射線療法との併用で診断後10年生存している第Ⅲ期B細胞リンパ腫例など,有効性を指摘する報告は多い。前向き臨床試験のエビデンスが不足していることから,現在は補完・代替療法として用いられているが,近年では,Chen助教授らの研究などから,同療法の作用機序や有効性を科学的に裏付ける基礎・臨床研究データが蓄積されており,米国では臨床試験も進められている。

 生体は大量のアスコルビン酸を経口摂取しても,血中アスコルビン酸濃度は0.2mM程度で飽和状態となるように厳格に制御されている。しかし同助教授によると,点滴静注や腹腔内投与ではこの制御は利かず,はるかに高い血中濃度を得ることが可能だという。VCによる腫瘍抑制作用は,そのように高い血中濃度が達成されて初めて発揮される。

 VC点滴療法では,非常に高濃度のアスコルビン酸が血中を循環し,細胞と血管の間の間質液(細胞外液)に移行してから,(モノデヒドロ)アスコルビン酸ラジカルへと酸化される。血中にはモノデヒドロアスコルビン酸還元酵素があるため,酸化は進まない。

 細胞外液では,次にアスコルビン酸が酸化される際に生じた還元鉄(Fe2+)が酸素供給源となって活性酸素(O2−)を生じ,最終的に過酸化水素(H2O2)を産生する。腫瘍細胞の死滅は,このH2O2が腫瘍細胞内に移行して細胞を傷害することで誘導される。

 正常細胞にはカタラーゼなどの分解酵素があるため,細胞内に入ったH2O2は速やかに分解されるが,腫瘍細胞の多くは分解酵素を欠いているため,H2O2による細胞傷害を受けやすい。つまりVC点滴療法は,正常細胞に影響せずに腫瘍細胞だけを死滅させることが可能であり,実際に同助教授らはin vivo研究で,その現象を確認している。

 アスコルビン酸は生理的濃度では抗酸化作用を発揮するが,VC点滴療法では,血中のアスコルビン酸が生理的濃度をはるかに超える高濃度になることで,逆に,活性酸素を生成するプロドラッグ(プロオキシダント)として作用し,細胞外液にアスコルビン酸ラジカルとH2O2を送達する。

【膵がんなどを有意に抑制】
 ヌードマウスに卵巣がん,膵がん,グリア芽腫の細胞を皮下移植して,高用量アスコルビン酸を腹腔内投与したChen助教授らの研究では,いずれの腫瘍においても対照群に比べて明らかな腫瘍増殖抑制,腫瘍重量低下が認められており,グリア芽腫では転移も見られなくなった(図)。

 さらに同助教授らは,膵がんの第一選択薬であるゲムシタビン(GEM)と高用量アスコルビン酸の併用により,膵がん細胞に対するGEMの効果が増大することをin vitro,in vivoの検討で確認するなど,他のがん療法との併用の有用性を示す結果も得ている。

 ヒトの血中アスコルビン酸濃度も動物研究と同等の20~30mMに上昇できることから,ヒトでも同様の腫瘍抑制効果が期待できる,と同助教授は指摘した。現在米国では,膵がんなどを対象にした高用量VC点滴療法の第Ⅰ/Ⅱ相臨床試験が少なくとも4件実施されており, その結果が待たれている。[MT誌:2010年10月14日(VOL.43 NO.41) p.30]
nice!(0)  コメント(1) 
共通テーマ:健康

ビタミンCサプリメントの服用が痛風の予防に役立つ [ビタミンC]

 米国国立衛生研究所(NIH)の協力で行われた、バンクーバー総合病院とブリティッシュコロンビア大学のHyon K. Choi, MD, DrPHらによる、ビタミンCの補充が痛風の予防に役立つ可能性があるという研究、"Vitamin C Intake and the Risk of Gout in Men: A Prospective Study"(「男性のビタミンC摂取と痛風リスク:前向き研究」)が、"Archives of Internal Medicine"[2009;169(5):502-507.]で報告された。


ABSTRACT
Background
Several metabolic studies and a recent double-blind, placebo-controlled, randomized trial have shown that higher vitamin C intake significantly reduces serum uric acid levels. Yet the relation with risk of gout is unknown.
Methods
We prospectively examined, from 1986 through 2006, relation between vitamin C intake and risk of incident gout in 46 994 male participants with no history of gout at baseline. We used a supplementary questionnaire to ascertain the American College of Rheumatology criteria for gout. Vitamin C intake was assessed every 4 years through validated questionnaires.
Results 
During the 20 years of follow-up, we documented 1317 confirmed incident cases of gout. Compared with men with vitamin C intake less than 250 mg/d, the multivariate relative risk (RR) of gout was 0.83 (95% confidence interval [CI], 0.71-0.97) for total vitamin C intake of 500 to 999 mg/d, 0.66 (0.52-0.86) for 1000 to 1499 mg/d, and 0.55 (0.38-0.80) for 1500 mg/d or greater (P < .001 for trend). The multivariate RR per 500-mg increase in total daily vitamin C intake was 0.83 (95% CI, 0.77-0.90). Compared with men who did not use supplemental vitamin C, the multivariate RR of gout was 0.66 (95% CI, 0.49-0.88) for supplemental vitamin C intake of 1000 to 1499 mg/d and 0.55 (0.36-0.86) for 1500 mg/d or greater (P < .001 for trend).



【背景】いくつかの代謝研究および最近の二重盲検プラセボ対照ランダム化試験で、ビタミンC摂取を増やせば血清尿酸レベルが有意に低下することが示されているが、痛風リスクとの関係は未知だとされている。

【方法】我々は、1986 - 2006年に、ベースライン時に痛風の既往がなかった46,994例の男性被験者のビタミンC摂取と偶発的に発生する痛風リスクとの関連の評価のために前向き研究を行った。米国リウマチ学会の痛風基準の確認に補足質問票を使用した上に、妥当性が証明された質問票を使用し、4年おきにビタミンC摂取量を調査した。

【結果】20年間にわたる追跡調査の期間中、偶発的な痛風症例が1317例確認された。ビタミンC摂取量が250mg/日未満の男性と比較して、ビタミンC総摂取量が500 - 999mg/日の男性の痛風の多変量相対リスク(RR)は0.83(95%信頼区間 [CI]・0.71 - 0.97)であった。ビタミンC摂取量が1000 - 1499mg/日の男性のRRは0.66(95% CI・0.52 - 0.86)で、1500mg/日以上の男性のRRは0.55(95% CI・0.38 - 0.80;傾向検定における有意確率 P<0.001)だった。1日あたり総ビタミンC摂取量500mgの増加に伴う、多変量RRは0.83(95% CI・0.77 - 0.90)だった。

 これらの関連は、食事に関連する痛風のリスクファクターや、他の痛風のリスクファクター(BMI・年齢・高血圧・利尿薬服用・飲酒、および慢性腎不全など)とは独立しており、BMI・飲酒・乳製品の摂取によって層化した各サブグループにおいて認められた。

 ビタミンCサプリメントを服用しなかった男性と比べて、1000 - 1499mg/日のビタミンCサプリメントを服用した男性の痛風の多変量RRは0.66(95% CI・0.49 - 0.88)で、1500mg/日以上では0.55(95% CI・0.36 - 0.86)だった(傾向検定における有意確率P<0.001)。


「ビタミンCの高摂取量と痛風の低リスクには独立した関連があり、ビタミンCサプリメントの服用が、痛風予防に有益である可能性がある」と著者らは述べている。本研究の限界には、食事の摂取について質問票によって自己報告したこと、観察研究のデザインであること、関節液中の尿酸結晶の観察によって痛風の診断を確認していないこと、および医療関係者に限定されているため、一般化の可能性が限られることが含まれる。

 米国国立衛生研究所(NIH)とTAP Pharmaceuticals社が本研究を部分的に支援したが、著者らは利害関係はないと発表している。


【コメント】
 かつては尿酸は痛風の原因物質として、単なる「悪玉」されていましたが、抗酸化物質に関する知見が一般化してきた今となっては、見方が百八十度変わったといっても過言ではありません。

 哺乳動物の血中尿酸値の高さと寿命が相関しているという知識が知られるようになりました。
 つまり、ビタミンC合成能力を失った人間は、ジャングルに暮らしていた頃は豊富な果物を利用してそれを補ってきた訳ですが、エデンであるアフリカのジャングルを出て、世界に広がってからは、のちに野菜となる植物などから摂取できない場合は、重度の場合、いわゆる壊血病という欠乏症状になります。これが船乗りに多発し、それがライム果汁やザワークラウトの摂取で予防できたことが、1932年の壊血病の原因発見につながりました。
 ただ、重度のものではないにせよ、現代人の場合、古典的な壊血病症状が発症するまでのことはないにせよ、野菜不足など食生活の偏りなどから、慢性的かつ軽度な欠乏状態にあるといえます。

 自分でビタミンC合成能力を持つ多くの動物は、ストレス環境によって、その合成量が5倍〜10倍のオーダーで変化する事が知られています。例えば、ネズミを回転車や水泳させるような高ストレス環境におくと、合成量が跳ね上がります。それはストレスホルモンであるコルチゾールの合成にもその代謝にもビタミンCが必要になるため、大量に消耗してしまうからです。このことは人間においても原理的には全く同様です。

 ストレスが過多であると、コルチゾール合成量が増えます。ナチュラルキラー細胞はコルチゾールのレセプターを持っています。従って、ストレスが過多な環境ではNK細胞が死んでしまい免疫力が低下しまうのです。新潟大の安保先生が「癌患者の多くは、近親者の死を初めとする大きなストレス環境の後で発癌することが多い」と仰るのは、そのような意味においてです。
 逆に言えば、ビタミンCを必要最低限量ではなく、オプチマルな量を摂取できていれば、発癌を抑制し、白血球の活動能や抗体産生や内因性インターフェロン合成能も活性化するので、免疫力が増強し、風邪やインフルエンザなどの感染症にも強くなるのです。

 しかるに、まだまだ古典的栄養学のパラダイムが支配している日本の一般医学の世界では、病態に応じて多めに補給するという発想に欠けています。多くの現代人が、職業的にも高ストレス環境におかれており、まだまだ喫煙者が多かったり、若者を中心に野菜不足に陥っていたりで、食餌から十分なビタミンCが得難い上に、摂取量が各自のストレス環境=個体差に応じた必要量を反映していない状況であるにも関わらずです。

 SODなどの活性酸素消去酵素を除けば、人間が自前で合成できる低分子抗酸化物質は、尿酸しかありません。人間の場合160〜450μMol/Lと、本来なら不要なはずの尿酸の値が上がっているのは、生体の合目的的な生産=適応の結果であるということが、その蓋然性から理解されるようになってきたのです。すなわち尿酸のスカベンジャー効果が比較的高かったからで、尿酸は食餌由来のビタミンC=外因性抗酸化物質が得られない際の代償性のスカベンジャー、すなわち人間が唯一自前で作りうる=内因性の低分子抗酸化物質としての役割があった訳です。

 冒頭にも書きましたように、人間の血中尿酸値は元来(針状)結晶化する限界値近くまで高いのが、他動物に比しての特徴なのです。ところで、高尿酸血症に関して言えば、ここにビタミンAが十分に摂取されていて、血中レチノール濃度が高いと結晶化が押さえられるという事実があります。従って、針状結晶化して、いわゆる痛風になっている場合には、Cの欠乏のみならず、これも「鳥目」という(ロドプシンに関わる)古典的欠乏症にまでには至っていないにせよ、オプチマルな摂取量からすればAの潜在的欠乏も疑われる訳です。
 これが中年以降の痛風患者さんの場合、そのA不足によって、免疫力の低下から風邪にかかりやすかったり、上皮細胞分裂に弱点を抱えている為に、医薬品の服用で胃が荒れやすかったり、いわゆる「魚の目」などの皮膚症状があったり、コンドロイチン硫酸合成が弱くて膝に弱みを抱えていたりといった症状が個体差によっては併存している可能性も高いでしょう。三石 巌はこのことを早くから指摘していました。師はビタミンCの不足に関わるカスケード理論を提唱していましたが、それはAにおいても全く同じ事が言えるはずだからです。

 またCが欠乏しているからには、尿酸だけではビタミンEの再生が効きにくいと思われるので、Eの潜在的欠乏がある可能性も高くなります。従って、総合的な食生活の正常化に留意しつつ、抗酸化ビタミン類のみならぬ、総合的なサプリメントの対症療法的服用が必要になってくるでしょう。農薬・除草剤を多用し、過肥料で連作される今時の野菜中のビタミン類は成分表の含有量などないことは自明だからです。

 もはや痛風・リウマチ専門医なら誰も肯定しませんが、かつては「プリン体」が尿酸の原因物質だからと、摂取を禁じ、「焼肉屋でビールなどもってのほか!」と無意味に食餌制限をしましたが、今や上の事情から、内因性で合成されるものであるが故に、肉にもビールにも原因を求めないのが常識です。  未だに普通の内科医や短大卒程度の栄養士レベルに残るような古い迷信に基づいた「プリン体カットビール」なる噴飯物で今なお商売させているのは、もはや犯罪といっても過言ではないでしょう。
 ちなみに、Dohertyが今年発表した論文「痛風の疫学的新知見」("New insights into the epidemiology of gout."[Rheumatology 2009;48 Suppl 2:ii2-ii8]




でも、「最近の研究では、食餌のリスクとしては肉食・果糖・ビールの多量摂取と痛風は相関しないとされており、コーヒー・低脂肪食・ビタミンC摂取はリスク低下と相関している」と、もはや常識として指摘されています。

ちなみに、拙ブログ過去記事「血中尿酸塩値が高いことがパーキンソン病のリスクに保護的に作用」も御覧下さい。

なお、ビタミンC一般に関しては、以下の一般書・専門書を参考にしてください。

村田 晃『新ビタミンCと健康―21世紀のヘルスケア』共立出版(1999)




ポーリング博士のビタミンC健康法』平凡社(1995)




Pauling & Cameron『Cancer and Vitamin C』(1993増補版)



木本 英治『l-アスコルビン酸カスケード』開成出版(1994)*木本 福岡大理学部名誉教授は今秋永眠されました。日本ビタミン学会の末席を汚す者として、先生のご逝去を悼み、学恩に感謝親します。

三羽信比古『ビタミンCの知られざる働き―生体への劇的な活性化メカニズム』丸善(1992)

三羽信比古『バイオ抗酸化剤プロビタミンC皮膚障害・ガン・老化の防御と実用化研究フレグランスジャーナル社(1999)



nice!(3)  コメント(2) 
共通テーマ:健康

ビタミンCがガン細胞を殺す (角川SSC新書11)【書評】 [ビタミンC]


柳澤厚生 『ビタミンCがガン細胞を殺す 』 (角川SSC新書 11)角川・エス・エス・コミュニケーションズ
====================================================
 本書は、ハンディな形では本邦で初めての、全米で1万人の医師が用いているビタミンC=アスコルビン酸によるガン治療の最新研究の紹介である。著者は、杏林大医学部内科助教授を経て、現・同大保健学部救急救命学科の柳澤厚生教授である。
 
 みのもんた氏などの番組のおかげで、健康や美容に興味のある者なら、今や主婦や女子学生にまで人口に膾炙した「活性酸素」という語。
 
 我々が陸生生物となって、太古の海から上陸して以来、水中に比して高濃度な酸素分圧環境で生きるために、体内では様々な抗酸化酵素を作り、外部から食物として、植物由来の抗酸化物を取り入れて、酸化=老化の進展を防いできた。

 ヒトはモルモットやフルーツコウモリなどと同様に、最もシンプルな抗酸化物であるアスコルビン酸の体内での合成能を失った。ジャングルで過ごしていた我々の先祖は豊富な果物から容易にビタミンCを得ることができたからであろう。

 しかし、ヒトはアフリカのジャングルを出て、世界へ出て行った。そのため、内因性の、自身で合成可能な抗酸化物は尿酸のみになった。ビタミンCが容易に得られない環境で行動するようになったヒトは、結晶化寸前までの高濃度の尿酸を代償的に合成するようになったことで、長寿も得た(哺乳類の血漿中尿酸濃度と寿命は相関しているのだ!)が、その引き換えに「痛風」を病む可能性も得たのだ。
 
 ラットは回転車や水泳など、ストレス環境におかれると、アスコルビン酸の体内合成量が何倍にも増加する。他の動物もそうである。例えば、ストレスホルモンであるコルチゾールの生合成にも分解=薬物代謝にもアスコルビン酸を消耗するからである。実際に、数倍から数十倍にまで変化する。

 本来、アスコルビン酸を合成不能なヒトならば、いくら抗酸化酵素による防衛システムが他の動物よりも高度だとはいえ、個々人の置かれた様々な環境によって変化するビタミンC所要量がたったの数十mgですむ訳は無い。
 現代はそもそもがストレス社会である上、無理な労働をせざるを得ない者やプロ選手など過剰なスポーツを行う者、さらには病態下にある者であれば、普通の食品から普通に得られるかどうかも怪しい通常の所要量ですむ訳は無い。動物はヒト体重に換算すれば数gから数十gまで合成量が増加するのである。その一方で、現在の野菜中のビタミンは環境のせいで昔に比べてどんどん減っているのだ。
 
 ノーベル化学賞・平和賞受賞者であるライナス・ポーリング博士は70年代にすでに「遊離基」という言葉で、フリーラジカル=活性酸素に触れ、その対策として、ビタミンCの薬理量摂取を主張していた。

 しかし、ジャガイモ澱粉から大量生産が可能で安価なビタミンCで多くの疾患が治るとされたのでは、医師会も製薬資本も面白い訳は無い。しかも博士は生化学の大家ではあっても医学博士ではない。当時の医者は賭場荒らしをされたような思いを抱いた。
 また医療の専門家支配に、製薬資本に対抗し、市民が健康自主管理せよと主張したのだから、そのロビイストの要請を受けた政治家からの圧力で、反権力=左翼がかったユダヤ人科学者(ナチスから逃れてアメリカに来た。そのせいでX線解析が遅れ、DNA二重螺旋構造の発見をワトソン/クリックに譲った形になったのは科学史の有名なエピソード)とのレッテルが貼られた。ネガティブ・キャンペインに躍起になった連中がいた。
 
 彼らがリードした「メイヨークリニックでビタミンCが癌に効かなかったとの結果が出た」という報道は、見出し報道的に広まり、無知な医療者はそれを信じた。ポーリング博士らは「静注・大量投与」で治療しているのに、メイヨーでは吸収量の知れている経口投与という異質な比較試験であったのにである。まさに情報操作であった。
 

→続きを読む


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:健康

ビタミンC付加で脳への薬剤運搬を促進 [ビタミンC]

 伊・フェララ大学薬化学科のStefano Manfredini教授は,アルツハイマー病,パーキンソン病など脳障害の治療薬にアスコルビン酸分子を付加させるという単純な方法で,脳への薬剤の運搬を促進させることができるとJournal of Medicinal Chemistry(45:559-562)に発表した。


Abstract
 To improve the entry of certain drugs into brain, ascorbic acid (AA) conjugates of these drugs were synthesized and their capacity to interact with SVCT2 ascorbate transporters was explored. Kinetic studies clearly indicate that all of the conjugates were able to competitively inhibit ascorbate transport in human retinal pigment epithelial cells (HRPE). In vivo studies, in a mouse model system, demonstrate that conjugate 3 is better absorbed compared to the nonconjugated parent drug.


[アブストラクト:Catsduke訳]
ある種の薬剤の脳内への送達性を向上させるために、アスコルビン酸 (AA) とこれらの薬品の抱合体が合成され、SVCT2アスコルビン酸トランスポーターとの相互作用能が調べられた。薬物動態学的研究では、これらの抱合体全てがヒト網膜色素上皮細胞(HRPE)においてアスコルビン酸輸送を競合阻害できることが明確に示された。生体内での研究では、マウスモデルシステムで、アスコルビン酸と抱合させない元薬に比して抱合体3がより吸収されることを証明した。


<新しい受容体を発見>
 主任研究員であるManfredini教授は,天然の栄養素を用いて、脳への薬剤の送達性を促進させる新しい有望な方法を発見。この方法を応用すれば、薬剤の血液脳関門の通過を容易にしたり、それまで遮断されていた薬剤の通過を可能にできるだろうと指摘した。
 研究対象は、HIVなどのウイルス感染症・てんかん・神経変性疾患などである。

 フェララ大学の研究チームは、SVCT2トランスポータという新しい受容体が存在することを最近発見した。脳にはビタミンCが高濃度に存在しているが、脳へのビタミンCの運搬では、この受容体が重要な役割を果たしていることが考えられるという。

 動物実験から、ビタミンCで分子修飾された薬剤はてんかんモデルで好ましい結果を示し、副作用もほとんどないことがわかった。一方、ビタミンCで修飾していない薬剤では、発作に対する効果が認められなかった。この結果から、同教授らは、ある種の治療薬にビタミンC成分を付加すると、薬剤の脳への運搬が促進されるという説を立てた。臨床試験までに、そのほかのビタミンC修飾型薬剤を使って、さらに動物実験を繰り返す予定であるという。

 こうした研究から、ヒトの体内においてビタミンCが正確にはどのような働きをしているのかを知る貴重な手がかりが得られ、「さまざまに議論が分かれているビタミンCの作用を解明する助けとなりそうだ」と同教授は述べた[MT誌02年5月23日 (VOL.35 NO.21) p.03]。

【コメント】
 その後のStefano Manfredini教授の研究の進展について追記します(2008.5.28)。

European Journal of Pharmaceutical Sciences (24:259-69)に"Ascorbic and 6-Br-ascorbic acid conjugates as a tool to increase the therapeutic effects of potentially central active drugs"を発表されています。

Abstract
Ascorbic acid (AA) or 6-Br-ascorbate (BrAA) conjugation has been investigated as a tool to improve brain drug delivery by the Vitamin C transporter SVCT2. To this aim, the effects of AA- or BrAA-conjugation on drug affinity and uptake have been assessed in vitro, by using human retinal pigment epithelium (HRPE) cells, and compared in vivo on mice. Nipecotic, kynurenic and diclofenamic acids were chosen as model drugs. Kinetic and inhibition experiments referred to [(14)C]AA uptake into HRPE cells showed that nipecotic and kynurenic acids became able to interact with SVCT2, as competitive inhibitors, only when conjugated to AA or BrAA.Surprisingly, diclofenamic acid itself appeared able to interact with SVCT2, with an affinity that was significantly increased or decreased by AA or BrAA conjugation, respectively. HPLC analysis, performed on HRPE cells, confirmed the SVCT2 mediated transport for the BrAA-conjugate of nipecotic acid, whereas kynurenic acids conjugates although interacting with the transporter did not enter the cells. In accordance, only the nipecotic acid conjugates showed anticonvulsant activity after systemic injection in mice.


[アブストラクト:Catsduke訳]
 アスコルビン酸 (AA)や6-臭素-アスコルビン酸(BrAA)の抱合体は、ビタミンCトランスポーターSVCT2による脳内への薬剤送達性向上のためのツールとして研究されてきた。この目的のために、ヒト網膜色素上皮細胞(HRPE)を用いてインビトロでAAやBrAAの抱合体の、薬剤との親和性と取り込みが調査されてきており、マウスによるインビボ研究と比較された。ニペコ酸、キヌレン酸、ジクロフェナク酸がモデル薬剤として選ばれた。14C同位体で標識したアスコルビン酸のHRPE細胞への取り込みを扱った動態および阻害に関する実験は、AAやBrAAに抱合させた時だけ、ニペコ酸とキヌレン酸がSVCT2と競合阻害物質として相互作用できるようになったことを示した。驚いたことに、ジクロフェナク酸は単独でSVCT2と相互作用できることを示したが、その親和性はAAと抱合した場合と、BrAAと抱合した場合とで、それぞれ著しく増加し、減少した。HRPE細胞に対して実施された高速液体クロマトグラフィーでの分析では、ニペコ酸のBrAA抱合体のSVCT2に媒介された輸送を確認したが、キヌレン酸抱合体はトランスポーターとの相互作用はしたものの、細胞内には到達しなかった。それはニペコ酸抱合体だけが、全身投与後にマウスで抗痙攣効果を示していたことと一致した。


【コメント】
 なお、ビタミンC一般に関しては、以下の一般書・専門書を参考にしてください。

村田 晃『新ビタミンCと健康―21世紀のヘルスケア』共立出版(1999)


ポーリング博士のビタミンC健康法』平凡社(1995)


Pauling & Cameron『 Cancer and Vitamin C』(1993増補版)


木本 英治『l-アスコルビン酸カスケード』開成出版(1994)

三羽信比古『ビタミンCの知られざる働き―生体への劇的な活性化メカニズム』丸善(1992)

三羽信比古『バイオ抗酸化剤プロビタミンC―皮膚障害・ガン・老化の防御と実用化研究フレグランスジャーナル社(1999)

コメント(0) 
共通テーマ:健康

ビタミンCは白内障を予防 食生活で発症に差 [ビタミンC]

 食事を通じてビタミンCを多く取る人は、摂取量の少ない人に比べて老人性白内障にかかりにくいとの疫学調査結果を、厚生労働省研究班(主任研究者・津金昌一郎:国立がんセンター予防研究部長)が27日発表した。

 老人性白内障は、レンズの役目を果たす目の水晶体が老化に伴って白く濁る病気。ビタミンCは酸化反応を抑えて水晶体タンパクを守る働きがあるとされる。

 欧米でも同様の調査結果はあるが、日本を含むアジア人で予防効果が確かめられたのは初めて。研究班の吉田正雄・杏林大助手は「普段の食事で果実や野菜をバランス良く多めに取るのが効果的」と話している。

 研究班は、岩手・秋田・長野・沖縄の4県で、45-64歳の男女約3万5000人を1995年から5年間追跡。白内障にかかった767人の食生活と、かからなかった人の食生活を調べたところ、ビタミンCを日本人の平均的な摂取量(1日に110〜120ミリグラム)の2倍近く取る人は、半分程度しか取らない人に比べ、男性で35%、女性で41%、白内障になりにくいことが判明した。手術が必要なほど重症化する危険度は、男女とも30%以上低くなっていた。

 ビタミンCは、ミカン1個当たり30〜35ミリグラム、イチゴに約9ミリグラム、レモンに約20ミリグラム含まれる。

 吉田助手は「多く取っても副作用はないが、たばこを1本吸うとレモン1個分以上が破壊されてしまうので要注意」と指摘している。【記事:共同通信社 07年2月27日】

【コメント】
 房水中のビタミンC濃度やグルタチオンの濃度は高いことは夙に知られた事実です。無論、紫外線対策です。血液ー房水関門を通過してCはチャージされています。このビタミンCに関する能動輸送に人種差などあるはずがない。動物にとって眼が大事なのは自明であるからです。
 がんセンターの部長なら、がんとビタミンCに関して、もっと研究すべきことがあるだろうに。

 そんなことより、ついでに面白い記事を紹介します。

【スリッパが眼を直撃して白内障が改善】
 英・カーディフ眼科病院のVanita Pathak-Ray氏は,夫が投げたスリッパが眼を直撃したことが原因で奇跡的に視力が回復した86歳の白内障女性患者について,British Medical Journal(327: 60)で報告した。

 同患者の高齢の夫は,うるさくほえる飼い犬目がけてスリッパを投げ付けたが,それが誤って妻の眼に命中してしまった。しかし,その後,この患者の視力は急速に改善した。眼科を受診したのはこの出来事の1週間後であったが,検査の結果,混濁した水晶体の外傷性脱臼と診断された。

 100年も前から行われている伝統的な白内障治療では、眼に一瞬の衝撃を与えて水晶体の位置をガラス体の方向へずらし、それにより視力の回復を試みる。今回のケースでは、夫は図らずも妻にこの治療を施したことになる。

 同氏は「スリッパを犬に投げそこねたのは,夫自身の両眼も白内障に見舞われていたためと考えられる」と付け加えている。[MT誌。03年10月2330日号 / Vol.36 NO.4344 / P.02]
……とオチまでついているのです(爆)。    



【コメント】
ビタミンC一般に関しては、以下の一般書・専門書を参考にしてください。

村田 晃『新ビタミンCと健康―21世紀のヘルスケア』共立出版(1999)


ポーリング博士のビタミンC健康法』平凡社(1995)


Pauling & Cameron『 Cancer and Vitamin C』(1993増補版)


木本 英治『l-アスコルビン酸カスケード』開成出版(1994)

三羽信比古『ビタミンCの知られざる働き―生体への劇的な活性化メカニズム』丸善(1992)

三羽信比古『バイオ抗酸化剤プロビタミンC―皮膚障害・ガン・老化の防御と実用化研究フレグランスジャーナル社(1999)

nice!(0)  コメント(0)  トラックバック(0) 
共通テーマ:健康

癌患者への抗酸化剤療法----放射線療法の効果を妨げない [ビタミンC]

<放射線療法の効果を妨げない>
 CTCA(Cancer Treatment Centers of America:全米癌治療センター)統合医学のTimothy Birdsall副院長らは「前立腺癌向け外部照射放射線療法への臨床腫瘍反応における自然療法の併用効果」という研究を行い、癌患者における抗酸化剤の投与が、放射線療法への干渉リスクなしに必要な栄養補給を可能とすることを,ボストンで開かれた第3回統合腫瘍学会国際会議で報告した。


<PSA値に差異認められず>
 筆頭研究者のBirdsall副院長らは今回の研究で、放射線療法後の前立腺癌患者における前立腺特異抗原(PSA)値を測定したところ、抗酸化剤投与の有無による差異は認められなかった。なお、この抗酸化剤には、緑茶エキス・メラトニン・高用量マルチビタミン剤・ビタミンCとEが含まれる。

 この研究は、従来の癌治療と栄養補助食品の併用に関する臨床上の懸念に対して全米癌治療センターが取り組んだもので、化学療法/放射線療法による殺腫瘍プロセス=癌細胞に対する酸化障害が、抗酸化剤により緩和されてしまうのではないかという懸念に対応したものである。

 同副院長は「この研究により、今日の癌治療においてきわめて重要となっている相補代替医療(CAM)の1つである抗酸化剤は外部照射放射線療法を妨げるものではないことが証明された」と述べている。

 癌治療に当たって医学的に一般的な選択肢は、先端的な放射線療法・化学療法・外科手術であるが、これらの療法による副作用は、患者の心身にきわめて大きな負担を強いるものである。通常療法の長所と、科学的な裏づけに基づいたCAMが完全に統合された全人的な医療モデルの適用により、癌患者のQOLは向上できる。

 同副院長は「今日、癌の治療において、腫瘍のみに注意を向けていたのでは、患者がまず不十分と言うであろう。完全に統合された全人的なアプローチが重要とされている。そして,癌患者と介護者は、自分たちでCAMを捜し求めるまでになっている」と述べている。

 癌患者の80%以上はなんらかのCAMを用いており,その多くは医師の監督を受けていない。しかし医師の監督なしにサプリメントを併用することには、深刻な安全性リスクが伴う。
 例えば,西洋オトギリソウ[Catsduke注:St.John's Wortのこと]エキスは抗鬱薬に用いられるが、化学療法の効果を低減し、その結果、効果よりも副作用のほうが大きくなってしまうこともある[Copyright 2007 DoctorsGuide.com]



【コメント】
 悪液質の改善や免疫能の向上、酸化ストレスの低減には、抗酸化ビタミン、とくにC・Eが効果的ですが、通常医学のパラダイムに浸る医師がそれを投与することは稀です。

 また、放射線治療が、基本的に過酸化水素による癌細胞の障害を機序としている以上、カタラーゼ以外に、それを消去できるだけの抗酸化ビタミンが薬理量投与のおかげで体内で飽和していれば、種々の副作用が低減できます。現に、かつてコロラド大学(プラサド教授)では放射線治療とビタミンC投与を併用していました。

 また、以前の記事に以下のようなものが有ります。

==================================================
高用量ビタミンC療法--癌患者の免疫機能とQOLが改善

 癌患者に対するアジュバント療法の1つとして,高用量ビタミンC療法がある。

 独・フーフェラント・クリニック(Hufeland Klinik)のWolfgang Wöppel博士は「複数の試験で,この治療により癌患者の免疫機能が改善し,QOLが向上することが証明された」とPascoe Naturmedizin社の記者会見で発表した。


【ビタミンCの静注投与を併用】
 Wöppel博士は「総合医学の概念からすると,腫瘍は非特異的な免疫機能低下の徴候である」と指摘。このことから,癌患者に対しては手術が成功しても,全身の免疫機能に影響を及ぼす非特異的な治療を行うよう推奨している。

 特に高用量ビタミンC療法は,生体の解毒と再生を目的とする基本的な生物学的療法の1つである。同博士によると,同療法では,患者は入院中に1日1回1gのビタミンCを服用し、追加で平均1週間に1回7.5〜30gのビタミンC(Vitamin C-Injektopas 7.5g)の静注投与を受けるという。さらに,退院後も家庭医のもとでこの治療を継続するよう勧めている。

 また,例えば乳癌患者を対象とする複数の試験で、癌に対するこうした総合的な免疫生物学的療法によりQOLが向上することが証明された。乳癌患者を対象とするある後ろ向き調査では,高用量ビタミンC療法下で特に胃腸症状と中枢神経症状の発現率が低減していた。

 さらに、フーフェラント病院の癌患者3,000例中5例(600分の1)がこの高用量ビタミンC療法などにより寛解に至った。一方、従来の治療法を全く行わずに癌の消退が認められるいわゆる自然寛解率は8万分の1であるという[Medical Tribune 06年5月11日 (VOL.39 NO.19) p.06記事にCatsdukeがリンクその他を補足]

【追記】
 本ブログの新しい記事「《書評》ビタミンCがガン細胞を殺す」もご参照下さい。


 なお、ビタミンC一般に関しては、以下の一般書・専門書を参考にしてください。

村田 晃『新ビタミンCと健康―21世紀のヘルスケア』共立出版(1999)


ポーリング博士のビタミンC健康法』平凡社(1995)


Pauling & Cameron『 Cancer and Vitamin C』(1993増補版)


木本 英治『l-アスコルビン酸カスケード』開成出版(1994)

三羽信比古『ビタミンCの知られざる働き―生体への劇的な活性化メカニズム』丸善(1992)

三羽信比古『バイオ抗酸化剤プロビタミンC―皮膚障害・ガン・老化の防御と実用化研究フレグランスジャーナル社(1999)

nice!(0)  コメント(1) 
共通テーマ:健康
ビタミンC ブログトップ

           医療用医薬品が買える! 三牧ファミリー薬局

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。