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青ジソから老化や発癌予防に有望な生体内抗酸化力を高める成分を発見 [抗酸化剤]

 京都大大学院薬学研究科の久米利明准教授(薬理学)らは6日、がんや老化、メタボリック症候群の原因とされる活性酸素の働きを抑えるDDCという有機物質を、青ジソから発見したと発表した。健康食品への応用が期待できるという。米科学誌に15日掲載される。

 酸素の一部は活性酸素となって細胞を傷つけ、老化を促進する。通常は体内のビタミンやポリフェノールが活性酸素を中和するが、喫煙や大気汚染、ストレスなどでバランスが崩れると、生活習慣病などを引き起こすとされる。

 研究グループは桃やリンゴなど12種類の果物や野菜の成分を抽出し、培養したラットの細胞に加え、酸化を抑える酵素の働きを調べた。その結果、青ジソから抽出したDDCを加えると、酵素の活性化を示す指標が約70倍になった。他の野菜類は数倍程度だった。さらに、化学合成したDDCにも同様の働きがあることを確認した。

 久米准教授は「青ジソ1枚に含まれるDDCはわずか。青ジソそのものを食べるより、化学合成して食品に加えるなどの活用方法が有効だろう」と話している。【毎日新聞 - 08月06日 20:40;榊原雅晴】

 本記事で言及された論文は、Free Radical Biology and Medicine誌に掲載される、" Isolation, identification, and biological evaluation of Nrf2-ARE activator from the leaves of green perilla"(Free Radic Biol Med. 2012 August 15)です。

 記事では8月15日に掲載される旨書かれていますが、実は電子版では6月から先行公開されていました。現在ではElsevierで$31.50払って講読しなければ、もう記事全文は見られません。ですが、京大学術情報リポジトリKURENAIで、この論文が公開されているので、図表以外は全文を読むことができます。


 とりあえず、アブストラクトを以下に引用紹介します。
Abstract
The nuclear factor erythroid 2-related factor 2 (Nrf2)-antioxidant response element (ARE) pathway is a cellular defense system against oxidative stress. Activation of this pathway increases expression of antioxidant enzymes. Epidemiological studies have demonstrated that the consumption of fruits and vegetables is associated with reduced risk of contracting a variety of human diseases. The aim of this study is to find Nrf2-ARE activators in dietary fruits and vegetables. We first attempted to compare the potency of ARE activation in six fruit and six vegetables extracts.Green perilla (Perilla frutescens var. crispa f. viridis) extract exhibited high ARE activity. We isolated the active fraction from green perilla extract through bioactivity-guided fractionation.Based on nuclear magnetic resonance and mass spectrometric analysis, the active ingredient responsible for the ARE activity was identified as 2′,3′-dihydroxy-4′,6′-dimethoxychalcone (DDC). DDC induced the expression of antioxidant enzymes, such as γ-glutamylcysteine synthetase (γ-GCS), NAD(P)H: quinone oxidoreductase-1 (NQO1), and heme oxygenase-1.DDC inhibited the formation of intracellular reactive oxygen species and the cytotoxicity induced by 6-hydroxydopamine. Inhibition of the p38 mitogen-activated protein kinase pathway abolished ARE activation, the induction of γ-GCS and NQO1, and the cytoprotective effect brought about by DDC. Thus, this study demonstrated that DDC contained in green perilla enhanced cellular resistance to oxidative damage through activation of the Nrf2-ARE pathway.


アブストラクト[Catsduke訳]
 p45核因子赤血球由来2関連因子2(Nrf2)ー抗酸化剤応答配列 (ARE) 経路は、酸化ストレスから細胞を防御するシステムである。この経路の活性化は抗酸化酵素の発現を増強する。疫学研究では果物や野菜の摂取は多くの疾患への罹患リスクの減弱に相関していることが証明されている。
 本研究の目標は、Nrf2-ARE経路のアクチベータを果物や野菜から発見することである。我々はまず6種類の果実と6種類の野菜で、Nrf2-ARE経路の活性化作用の効力を比較しようと試みた。その結果、青紫蘇エキス (Perilla frutescens var. crispa f. viridis)が高いARE活性化能を示した。 我々は青ジソエキスから活性画分を生物活性誘導分画によって単離した。そして、核磁気共鳴と質量分析による構造解析で、抗酸化剤応答配列に活性化を起こす成分は 2′,3′-ジヒドロキシ-4′,6′-ジメトキシカルコン(DDC)であると同定された。
 このDDCは、γ-グルタミルシステインジンターゼ (γ-GCS)、やNAD(P)Hキノンオキシドレダクターゼ1(NQO1)、ヘムオキシゲナーゼ1(HO-1)などの抗酸化酵素の発現を誘導した。さらにDDCは、細胞内活性酸素種の生成と、6-ヒドロキシドパミン(6-OHDA)に誘導された細胞毒性を阻害した。p38 MAPK経路の阻害は、ARE活性化を無効化し、γ-GCS とNQO1の誘導と細胞保護的効果がDDCによってもたらされた。それ故、本研究では、青ジソに含まれるDDCはNrf2-ARE経路の活性化を通して、酸化ダメージへの細胞の抵抗性を増強することが立証された。



 本記事では、DDCが抗酸化物質のようにも取れる書き出しでしたが、中盤で「抗酸化酵素を誘導する」旨が書かれていたし、このアブストラクトでも分かるように、各種の抗酸化酵素を誘導する物質であるということです。
 この物質DDCは、正式には、2′,3′-ジヒドロキシ-4′,6′-ジメトキシカルコンという物質です(構造式は上の図表中に示されています)。


 DDCは、抗酸化酵素を発現誘導する生体内抗酸化システムとしてのNrf2-ARE経路を活性化して、生体の酸化ストレスに対する抵抗性を獲得した状態を維持させます。

 転写因子であるNrf2は、通常はKeap1と結合し細胞質に留められているのだが、生体が酸化ストレスに晒されると核内移行して、遺伝子の上流に存在するARE配列に結合することで、グルタチオンペルオキシダーゼ、ヘムオキシゲナーゼ1(HO-1)、カタラーゼなどの抗酸化酵素やNAD(P)Hキノンオキシドレダクターゼ1(NQO1)などの第2相薬物代謝酵素の発現を誘導します。

 
 久米先生のグループが、多くの果汁のNrf2-ARE経路活性化能を調べたところ、相対値で温州みかんを1とするとクランベリージュースが約12、青ジソ生葉が約70と、青ジソが圧倒的にアクチベータとして優れていることが分かりました。
 後にDDCを合成して、6-OHDAを用いて酸化ストレスに対する機能解析をおこなって有効性評価をおこなったところ、DDCは酸化ストレスに対して細胞保護作用を示すことが明らかになったわけです。

 
 実は、このDDCは、すでにタイの研究者によって、熱帯に生えるバンレイシ[蕃茘枝]科 (Annonaceae) の植物に含まれていることが報告されていました。Uvaria属は約150種あるそうですが、Uvaria dulcisはその一つであり、Traditional Chinese Medicineによると、中国では甜紫玉盘(TIAN ZI YU PAN)と言い、英名Sweet Uvariaに当たるものです。
 その論文は"A chalcone and a dihydrochalcone from Uvaria dulcis"(Phytochemistry Vol.53, Issue4, 9 Feb 2000, P.511–513)だと思われます。



 ちなみにバンレイシとは、中南米原産ですが、フロリダや東南アジアで栽培されており、台湾や沖縄の一部でも栽培されています。別名「釈迦頭」とも呼ばれ、英語でsugar appleと言われる果物で、甘くて梨のような食感があるものです。



 しかし、我が国や亜熱帯でないような地域では一般的でない、バンレイシ科の植物からではなく、身近な青紫蘇葉に、このDDCが多量に含まれていることを発見したのが、京大チームの功績です。


 ということで、この目的では、青ジソ葉の次に著しくDDCを含んでいるクランベリージュースの飲用がもっともC/P比のよい選択ではないでしょうか。


 そもそも、クランベリーは、尿路感染症に著効を有する植物とされていますが、それは細菌の細胞膜への接着を阻止する成分が含まれているために、尿と一緒に細菌が流されてしまい、膀胱炎を殺菌作用を持たないのに治してしまう効果があるからです。
 ちなみに最新のレビューが、Arch Intern Med. 2012 Jul 9;172(13):988-96.に掲載されています。メタ解析の結果、10試験、1,494名が解析の対象となり、クランベリー摂取群は、非摂取群に比べて、38%の尿路感染症リスク低下作用が見出されたということです(RR=0.62, 95% CI, 0.49-0.80)。
 


 ただ海外のマトモなクランベリー抽出物サプリメントでは、標準化されている成分がプロアントシアニジンなので、DDCも含まれてはいるでしょうが、DDCの含有の程度は分かりません。プロアントシアニジンの標準化のための犠牲になっている可能性もあり得ます。


 しかし、サプリメントよりは比較的安価であって、果実全体を搾って、あったとしても若干の加糖程度の処置のみで、場合によっては濃縮還元だけの100%天然ジュースが入手できるのですから、試験に用いられたのがジュースであった以上は、DDCを健康に資する嗜好品として気軽に利用するできる商品として選択するのは合理的だと思われます。


 ただ、クランベリーに含まれるフラボノイドがCYP2C9を阻害する可能性があるので、ワルファリンの抗凝固作用を高めることがありえる(600 mL/日摂取以下なら影響が見られないという報告あり)ことと、シュウ酸を含むため1 L/日以上を長期摂取すると、理論上腎臓の尿酸結石のリスクが増加する可能性があることが注意点になるでしょうが。

 
 元記事には「微量なので、合成して利用するほうが」良いと書かれているので大丈夫だと思いますが、日本人は極めて安直な「みのもんた的一物健康法」に走りがちなので、老婆心ながら、ここで読者の皆様にご注意申し上げたいことがあります。


 シソは漢方生薬としては「蘇葉」であって、漢方処方「香蘇散」=胃腸型感冒用の漢方薬の主成分として有名で、他にも「参蘇飲」「半夏厚朴湯」にも用いられています。

 薬理作用は「鎮静・免疫賦活・抗アレルギー・TNF産生抑制,・抗菌」であって、効能として去痰・鎮咳・健胃・発汗・解熱・解毒(抗アレルギー)作用を有し、感冒・気管支炎・神経痛・不眠・魚蟹中毒時の嘔吐や腹痛に良いとされています。


 すなわち、れっきとした漢方生薬の一つなのです。従って「証」が合わないと効果があるとは限らないのです。


 元記事で言われているのは、西洋医学的な「単味」での使用例になり、活性酸素消去酵素のインデューサーとしての機能のみを問題にしている訳ですが、蘇葉には他の成分も含まれているのだから、たくさん取れば、抗活性酸素=抗老化作用だけが得られるわけではなく、副作用もあり得るということになります。古人が「証」を合わせて使ってきた理由がそこに存する訳です。


 また、万一、仮に自己責任で、常食・多食する(極度の「偏食」です!)などで多量に利用するにしても、問題なのは、市販のシソは最も農薬が使われている類の野菜だという点です。そんなものを多量に購入し利用するのは愚かです。自宅のプランターや庭の畑で「無農薬」でお作りになる分には、その点では心配はないわけですが。


 市販の大葉で天ぷらなんていうのは、農薬を身体に入りやすくするための調理法になってしまうことをくれぐれもお忘れ無く(笑)。

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慢性膵炎の痛みに抗酸化物質が有効な可能性 [抗酸化剤]

 慢性膵炎の痛みの緩和に抗酸化物質が有効な可能性があると、インドのグループがGastroenterology(136:149-159)に論文"A Randomized Controlled Trial of Antioxidant Supplementation for Pain Relief in Patients With Chronic Pancreatitis"(慢性膵炎患者の疼痛緩和に対する抗酸化剤投与効果に関する無作為化対照試験)を発表した。


ABSTRACT
Background & Aims
 Oxidative stress has been implicated in the pathophysiology of chronic pancreatitis (CP). We evaluated the effects of antioxidant supplementation on pain relief, oxidative stress, and antioxidant status in patients with CP.

Methods
 In a placebo-controlled double blind trial, consecutive patients with CP were randomized to groups that were given placebo or antioxidants for 6 months. The primary outcome measure was pain relief, and secondary outcome measures were analgesic requirements, hospitalization, and markers of oxidative stress (thiobarbituric acid-reactive substances [TBARS]) and antioxidant status (ferric-reducing ability of plasma [FRAP]).

Results
 Patients (age 30.5 ± 10.5 years, 86 male, 35 alcoholic, and 92 with idiopathic CP) were assigned to the placebo (n = 56) or antioxidant groups (n = 71). After 6 months, the reduction in the number of painful days per month was significantly higher in the antioxidant group compared with the placebo group (7.4 ± 6.8 vs 3.2 ± 4, respectively; P < .001; 95% CI, 2.07, 6.23). The reduction in the number of analgesic tablets per month was also higher in the antioxidant group (10.5 ± 11.8 vs 4.4 ± 5.8 respectively; P = .001; 95% CI, 2.65, 9.65). Furthermore, 32% and 13% of patients became pain free in the antioxidant and placebo groups, respectively (P = .009). The reduction in the level of TBARS and increase in FRAP were significantly higher in the antioxidant group compared with the placebo group (TBARS: placebo 1.2 ± 2.7 vs antioxidant 3.5 ± 3.4 nmol/mL; P = .001; 95% CI 0.96, 3.55; FRAP: placebo −5.6 ± 154.9 vs antioxidant 97.8 ± 134.9 μMFe+2 liberated, P = .001, 95% CI 44.98, 161.7).

Conclusions
 Antioxidant supplementation was effective in relieving pain and reducing levels of oxidative stress in patients with CP.

 慢性膵炎の病態生理に酸化ストレスが関係している可能性があることから、同グループは慢性膵炎の痛みに対する抗酸化物質の有効性を検討した。対象は127例で、6か月間にわたり抗酸化物質のサプリメントを服用する71例とプラセボを服用する56例にランダムに割り付けた。

 その結果、プラセボ群と比べ抗酸化群では6か月後の1か月間の疼痛日数の減少と、鎮痛薬錠剤数の減少がともに有意に大きかった(それぞれP<0.001、P=0.001)。痛みが消失した割合は抗酸化群32%、プラセボ群13%であった(P=0.009)。
 また、プラセボ群と比べ抗酸化群では酸化ストレスマーカーと抗酸化能の有意な改善が認められた。


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ミニ脳卒中ーー尿酸の正常高値が原因の可能性 [抗酸化剤]

 ジョンズホプキンス大学精神科・行動科学のDavid Schretlen博士らは、尿酸の正常高値は検出困難であるが、高齢者の精神機能低下の一因となるミニ脳卒中の原因となる可能性があるとNeurology(69: 1418-1423)に発表した。同博士は「尿酸は脳には有益だが、特定の状況下では尿酸の産生過程が有害になりうる」としている。

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NAC=N-アセチルシステインは統合失調症治療に有益 [抗酸化剤]

 豪メルボルン大学・精神医学のMichael Berk教授らは、一部の肺疾患に対して粘液溶解薬として投与されるOTC薬のN-アセチルシステイン(NAC)は統合失調症治療に便益があると第20回欧州神経精神薬理学会(the 20th European College of Neuropsychopharmacology (ECNP) Congress")で10月16日に"N-acetyl Cysteine in Schizophrenia: A Double Blind Placebo Controlled Trial"というタイトルで報告した。

<病因に関与の可能性も>
 Berk教授は「グルタチオン前駆体であるNACに有効性が見込めるという事実は、グルタチオン不足が統合失調症の病因に関与していることを意味しているのではないか」と述べた。
 

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血中尿酸塩値が高いことがパーキンソン病のリスクに保護的に作用 [抗酸化剤]

 血中尿酸塩値が高いことがパーキンソン病(PD)のリスクに保護的に働いている可能性があると、ハーバード大学のグループがAmerican Journal of Epidemiology(166: 561-567。全文)に発表した。

 PDのドパミン作動性ニューロンの変性には酸化ストレスが関係している。強力な抗酸化物質である尿酸塩には神経保護作用が想定されることから,血中尿酸塩高値がPDのリスク低下を予測するか検討した。
 対象はHealth Professionals Follow-up Studyで93~95年に血液サンプルを提出した約1万8,000人の男性で、2000年までに84人がPDと診断された。各症例は出生年・人種・採血時期により2人の対照とランダムにマッチングされた。

 血中尿酸塩の平均値は症例群が有意に低値だった(対照群の6.1mg/dLに対し5.7mg/dL,P=0.01)。年齢・喫煙習慣・カフェイン摂取を調整後、血中尿酸塩値四分位の最低群と比べた最高群のPDの率比(RR)は0.43と有意に低かった(P=0.017)。この関係は採血から4年以内にPDと診断された症例を除外すると、さらに強くなった(RR 0.17,P=0.010)。

 同グループは「血中尿酸塩値を高める介入がPDのリスクを低下させ、進行を遅らせる可能性がある」と示唆している。[07年9月13日 (VOL.40 NO.37) p.68]

【コメント】
 「プリン体カットビール」という詐欺的商品があります。痛風患者にそこまでして飲ませたいのか(笑)と寒心に耐えませんが、リウマチ学会の専門医クラスなら一言の元に非科学的とおっしゃるでしょう。
 
 プリン体はRNAからできる=内因性なので、食餌由来のものが血液中にそのまま吸収され高値になる訳ではありません。「コレステロールが増えるから卵を食うな」というアホ話と全く同論理のトンデモ話で、生化学を無視した与太話です(因みにコレステロールの肝臓での一日生合成量は、ステーキ数枚分以上=食餌由来のものより遥かに多いのが常識です)。

 そもそも人間の血漿中の尿酸値は[針状]結晶化する限界まで高いことが知られています。しかし尿酸値の高い動物ほど長命だという事実があります。

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過酸化水素は投薬時の重要因子 [抗酸化剤]

 薬剤療法では標準用量が多すぎる人少なすぎる人と個人の応答には差があることが多いが、これは細胞内過酸化水素量によるとする新説が、カンザス大学ローレンス校・薬化学のJeffrey Krise助教授とRyan Funk博士により提唱され、Molecular Pharmaceutics(2007; 4: 154-159)に発表された。

<薬剤の細胞内蓄積に影響>
 細胞内過酸化水素は酸化ストレスにより影響されることが知られており、ストレスが高まるとその産生量も増加する身体の過酸化水素産生は個人により異なり、これが薬剤の細胞内蓄積に作用しているようである。Krise助教授らは「処方する薬剤の治療指数幅が非常に狭い場合には、適切な投与量を推奨する前に,患者の酸化ストレスの程度と過酸化水素量の双方あるいはいずれか一方を考慮すべきだろう」と言う。

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化学療法中の抗酸化剤投与禁止に根拠無し [抗酸化剤]

 米・癌研究教育統合センター(イリノイ州)の医学責任者Keith I. Block博士らの研究から、化学療法を受けている患者には抗酸化剤を避けたほうがよいという助言には何の根拠もないことが判明した。詳細はCancer Treatment Reviews(published online 16)に発表された。

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抗酸化物質に鎮痛作用----麻薬とOTC薬の中間薬として有望 [抗酸化剤]

 抗酸化物質系の鎮痛薬が,モルヒネなど中毒性麻薬の有望な代替薬となる可能性がある。オハイオ州立大学(OSU,コロンバス)生理学・細胞生物学のRobert Stephens教授らは,合成抗酸化物質が後肢に炎症を生じたマウスのほぼ4分の3で,実際に疼痛様行動を消失させることを見出した。研究結果はBehavioural Brain Research(2006; 173: 211-216)に掲載された。

<フリーラジカルを中和>
 研究責任者のStephens教授は「鎮痛薬に関して言えば,イブプロフェンやアスピリンなどOTC鎮痛薬と,モルヒネなど処方せん薬の麻薬との中間の選択肢がほとんどない」と述べている。

 さらに,同教授は「これら両極の中間的な薬剤が必要とされる。慢性疼痛に苦しむ患者は,モルヒネなど強力な鎮痛薬の依存症,あるいは中毒症にさえなりうる」と説明している。

 慢性疼痛はきわめて厄介な疾患であるため,2001年1月1日を「疼痛管理と疼痛研究の10年」の開始日とする法案が2000年に米連邦議会を通過した。

 抗酸化物質は,細胞を損傷するフリーラジカルを中和する。体内では常にフリーラジカルが産生されるが,健常な組織がこの有害物質を不活性化し,そのレベルを抑制している。問題が生じるのは,なんらかの理由でフリーラジカルが生体の自然防御を超えて産生される場合である。研究者らは,この産生過剰を癌やアルツハイマー病などの疾患と関連付けた。

 過去10年間に,フリーラジカルが慢性疼痛の原因にもなることを示唆するいくつかの研究が発表された。フリーラジカルは抑制されない状態にあると体内に蓄積し,既に損傷した組織をさらに傷害する。

 同教授による研究を含め,少数の研究において,抗酸化物質が生体によるフリーラジカルの除去を促進させることにより,慢性疼痛を抑制する可能性が示唆されている。

 同教授は「抗酸化物質の鎮痛効果は新しい研究分野である。米食品医薬品局(FDA)は抗酸化物質を慢性疼痛の治療薬としては承認していないが,将来は抗酸化物質を含有する薬剤が開発されるであろう」と述べている。

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JAMAの「抗酸化ビタミンは恐い」情報操作に対抗:LPIディレクターが論破。[翻訳] [抗酸化剤]

 Oregon大・ライナス・ポーリング研究所のHP掲載文書を拙訳。慌てて訳したので誤訳等あればご指摘下さい。とりあえずは大意さえ取れればよいと割り切って下手くそな訳文にお付き合い下さい(Catsduke Poitrine拝)

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メディア・リリース
【欠陥のある方法論に基づいて抗酸化ビタミンの危険性を引用するメタ解析】

 最近発表された、ある研究は、抗酸化サプリメントが持つ健康リスクを指摘するに際して、欠陥のある方法論に基づいてなされており、大抵は肯定的な結論に帰結するはずのエビデンスに目配りして総体的に捉えるということを全くしようとしていないと、当オレゴン州立大学ライナス・ポーリング研究所の専門家が本日[070227]発表した。

 JAMAの今週号[注:JAMA. 2007;297:842-857]で公表されたその研究では、ビタミンAとEのような抗酸化サプリメントが死亡率を著しく増加させると結論づけ、ビタミンCが死亡率の減少に対して肯定的な効果を持つと立証するエビデンスは何ら存在しないとしていた。

 しかし、ビタミン・フィトケミカル・微量元素が健康に持つ価値を研究する世界有数の研究所である、当ライナス・ポーリング研究所の教授であり、ディレクターでもあるBalz Freiは「この新しい研究が、数多くのin vitroな実験結果や動物実験やヒトの疫学的観察・経験的データを無視しているだけでなく、他の数多くの肯定的な臨床試験の諸結果を無視した臨床試験をわざわざ選んで、それに注目しているものである。従って、これは欠陥を含むデータによる欠陥を持った分析であり、私たちが抗酸化剤の持つ真の健康上の効果を理解することに少しも寄与しないし、何の有益性もない」とFreiは述べている。

 「そこで指摘される害の代わりに、既存のエビデンスを全体的に捉えれば、食餌やサプリメントから得られる抗酸化成分は、心臓血管疾患やある種の癌や目の疾患や神経組織変成疾患のリスクを減らすことを含む、多くの健康上の利益をもたらしているし、加えて、抗酸化剤は免疫システムを増強し感染症への抵抗力を高める鍵である」とも彼は言う。

 「JAMAのメタ分析[とは、過去公表されたデータを用いた統計分析である]では、815件の抗酸化剤に関する試験を参照しながら、彼らの否定的な分析結果を導くために、その中から68件の試験だけを用いている」とFreiは述べている。そして、NCI(米国立癌研)および英国の有力医学雑誌ランセット誌で発表されている2つの大規模研究が除外されているが、そこでは抗酸化サプリメントの摂取によって、相当な健康上の利益が得られたことと死亡率の減少が示されているのだ

「もしこれらの大規模な2つの研究が含まれていれば、βカロテンのもたらす諸効果を例外として、死亡率の増加に関して報告された影響のどれも深刻なものはなかっただろう」また「本研究が特筆大書する<βカロテンやビタミンAのサプリメントを摂る喫煙者は肺癌発生率がより高くなる>という事実は、とっくに知られている有名な事実であるし、ビタミンAの度を越した高用量投与が副作用を増やすことも、大昔から知られていることに過ぎない」とFreiは述べている。

実のところ、この新研究全体が実証しているものは、抗酸化剤で生ずる害作用の存在を示した臨床試験や症例研究が存在することと、抗酸化剤の有用性を示す研究を意図的に除外することとを同一視しようとする、彼ら自身にバイアスが存在することの2つである」とFreiは述べている。

「彼らがレビューした試験の平均期間は2.7年で、従って、暗黙裡に導かれる結論は<抗酸化サプリメントの摂取を続けると3年未満で死に至るかもしれない>ということになる」とFreiは述べた。

「ビタミンサプリメントにそうした効果があるかもしれないと思うことが馬鹿げている。というのも、それを説明し得る何の生物学的メカニズムも同定し得ないからだ」とFreiは述べた。おまけに、死因が考慮されていないばかりか、彼らがレビューで扱った研究の多くでは確定もされておらず、従って、食餌や酸化ストレスと全く関係がない事故や原因を含んでいるかもしれないからである

「この研究に引用されたほとんどの試験が、疾病治療において、他の多くの栄養補助食品や医薬品を含む、複数の抗酸化剤投与や追加介入をテストしていたものだ」とFreiは述べた。

 「従って、根本的な健康問題や、多数のタイプの医学的治療・投薬・外科手術が全て、抗酸化剤に直接帰することができる効果を妨げたり覆い隠したりしているかもしれない。これらの試験は、疾病予防における抗酸化剤の有用性や、サプリメントは体内の酸化ストレスを低下させる意図した効果を有するのかに関して、私たちに何も教えるところはない」とFreiは述べている。「それはあたかも血清コレステロール測定もせずに、コレステロール低下試験を行うことのようなものである。そんな貧しいデザインの研究から、あなた方はどれほどの結論を導き出すことができようか」

【コメント】
 元記事
http://oregonstate.edu/dept/ncs/newsarch/2007/Feb07/vitaminstudy.html
 あちこちの医学・健康系サイトにほんの一部だけ、このJAMAの報告が引用されると、それを信じる輩が出てくる訳です。「あるある」の情報操作のようなもんです。マスメディアを通過しているアナウンス効果だけで信じてしまう訳です。そして自分で何の論文群も見たことがないくせに、危ないと思いこまされる訳です。

 そして、一般人であれ、薬剤師であれ、医師であれ、ナースであれ、栄養士であれ、自分は今までに、ろくすっぽ論文群も見たことがないくせに、洗脳されます。いや、むしろそれ故に危ないと思いこまされてしまう訳です。

 さらにタチの悪い輩は「ほら、やっぱりね」とばかりに、何も知らないくせに、「抗酸化ビタミンは恐い」とか何とか、ネットでいっぱしの書きこみなどして能書きを垂れるのです。ネットの表街道までいつから無責任な厨房の跋扈する2ちゃんねる化してしまったのか(嘆)

 こういう問題にコメントするからには、JAMAのような偏ったソース(のサマリー)だけではなく、ヨーロッパ[過剰医療反対派が多い]のジャーナル、例えばBritish Medical Journalはチェックしていて、さらに臨床栄養学関連ジャーナルたる、American Journal of Clinical Nutritionなど複数の栄養学ジャーナルをチェックしている人でないと話になりません。国内では日本ビタミン学会「ビタミン」誌程度はご愛読下さい(笑)

 ちなみにJAMAのサイトで、キーワード「Vitamin」で検索してみて下さい。全部ネガティヴな論文ばかりかと思えば、あにはからんや、有効性を示す論文も相当数出てきます。それもサンプル数も多いものがです。JAMAのような保守派の牙城さえでもそうなのです。だから、一定頻度で、それに対するネガティヴ・キャンペイン的研究が発表され、エピデンスを薄めようという動きが出てくる訳です。我々は「またか」とか「年中行事」とか呼んでいます(笑)


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膵臓痛に抗酸化サプリメントーフリーラジカルによる損傷を修復 [抗酸化剤]

 英・王立ビクトリア病院外科のGareth R. Kirk博士らは,鎮痛薬に反応しない難治性疼痛に苦しむ多くの慢性膵炎患者を対象に臨床試験を行った結果,一般用医薬品(OTC薬)の抗酸化サプリメントにより膵臓痛を大幅に軽減できることを突き止め,詳細をJournal of Gastrointestinal Surgery(2006; 10: 499-503)に発表した。

<QOLが有意に向上>
 Kirk博士は「膵臓痛の多くは酸素フリーラジカルによる損傷がもたらすことが,最近の研究で示されていた。そこで抗酸化薬にはこの損傷をコントロールし,除痛する作用があることを期待して今回の試験を行った」としている。

 同博士らは,ベルギーの製薬会社Pharma Nord社が製造する抗酸化サプリメントAntoxを用いた。このサプリメントには抗酸化薬のセレン,β-カロチン,L-メチオニン,ビタミンCおよびEが含まれるが,購入時に医師の処方せんは必要ない。試験は慢性膵炎と確定診断された患者36例を対象に二重盲検,プラセボ対照,クロスオーバー方式で20週間行った。

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