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猫の分子矯正医学序論[1]----獣医学再考 [獣医学]

 ネコはビタミンCを自前で合成できる。
 そのせいで糖尿病でも糖化酸化LDLができにくいのか、合併症でもヒトとは違って、網膜症にはならないといわれる。ただ、うちのタマは白内障にはなっている。

 しかしストレス環境には陥りやすいので、その場合、コルチゾールやアドレナリンの合成・分解にCが必要だから、所要量は当然増す。病態下では、病院でのストレスも考慮すれば(イヌがキャンキャン鳴いているような入院環境ではなおのことそうだ)経口摂取・静脈点滴などでも補うべきなのだ。

 また単純な考え方をしていること、獣医学も医学も同様である。
 ネコには「結石」という問題が有る。すなわち、去勢・避妊などのせいでホルモンバランスがくずれると、結石のリスクが増える。ネコの場合、イヌのようなシスチン結石などは珍しく、大抵が「ストルバイト」(リン酸アンモニウムマグネシウム結石)がである。

 メスなら尿道が短く、砂状の小結晶ができたとしても成長=巨大化する前にすぐに排泄されるから問題が生じにくいが、オスの場合尿道が長いので、またテリトリーを示すためのスプレー尿ができるようになっているため、途中で狭窄している箇所もあることも相まって、尿pHが上がり、結晶が出来て詰まってしまうとすぐ尿閉を起こし、腎不全にまで至り得る。いわゆるFUSになる。

 だからFUS針という細い尿道用カテーテルで尿閉を解除したり、尿酸化剤としてdl-メチオニン(含硫アミノ酸だから当然尿中に硫酸イオンが出る)を増量した食餌[ロイヤルカナン「pHコントロール」等]を与えるなどする。

 餌の自由給餌を止め、決まった時間に餌をやる。運動をさせる。ストレスを減らす。など、対策が言われるが、もっともアホな話が「低マグネシウム餌を与える」従ってミネラルウォーターを与えないほうがいいとも言われる。
 それは結石の成分の一つがマグネシウムだからである。

 しかし、これは次の疑問で即刻破綻する。「ヨーロッパではネコも当然硬水=カルシウム・マグネシウムの含有量の多い水を毎日飲んでいる。そのせいでヨーロッパのネコは全員が結石になるのかといえばそうではない」。

 水道水はおそらく飲んでいないだろうし、わざわざ「軟水の」ミネラルウォーターを飲んでるにゃんはいないだろう。愛猫家は自分たちと同じヴィッテルやエビアンを与えているだろう。では、マグネシウムを減らすことで予防は可能なのか?
 その点をかかりつけの獣医に質問しても「う〜ん、確かに。でも、わかりません」との回答だった。この人は副院長であり、専門学校で獣医学を講義しているレベルの人にも関わらず、である。

 人間だと、Ca:Mg:P=2:1:1という体内比率に即した摂取比率が望ましいと言われている。ネコは、結石予防を謳い文句に、ここで著しくMg摂取量をおさえられてしまっている。

 しかし、チアミン(ビタミンB1)を保持するには十分量のMgが不可欠だということが分かっている。
 和歌山県の古座川流域やグアム島では、飲料水にMgが圧倒的に少なく、Alが多いという特徴があったために「アミトロ」=筋萎縮性側索硬化症が風土病として存在した。
 現在では、古座川水源の上水道にはMgが添加されており、この風土病の発生は皆無である。
 この病気の原因として、Mg不足が細胞のレセプターを変化させてしまい、チアミンを保持できなくなる結果、神経障害が起こるという機序であった。

 Mgが結石の材料になっているからMg摂取を減らせばいいといった単純かつ科学主義的で姑息な対症療法で、ネコをMg不足、ひいてはそこから来るチアミン不足に追い込んではいないのだろうか。

 ちなみに、最近の獣医学の研究では、結石は「含硫アミノ酸の摂取不足」、即ちアミノ酸インバランスのせいということになってきて、ペットフードにメチオニン・タウリンなどの添加が強化されているのだ。
 しかし、それは私が10年以上前から原理的に主張してきた通りの、分子矯正医学的立場からは当然の内容に過ぎない。そして、そのように修正されているのなら、Mg摂取に関しても獣医学的常識は修正されねばならないのではないのか?

 さらに最近の人間の医学での知見では、Mgが不足するとアディポネクチンの産生能が低下することが分かっている。Mgがインスリン抵抗性を解除するのは、このアディポネクチン産生を介してであろうと言われている。

 しかもMg不足・チアミン不足の状態で、本来、デンプンなど食べないネコに対して、ドライフードの賦形剤として炭水化物を与えている。これがアミロイドーシスの遠因だろうとは言われている。

 糖代謝をするにはチアミン(ビタミンB1)が不可欠だが、よほどチアミンが強化されていない限りは、このMg制限のせいもあって、フード中のチアミンは十分に利用されずに終わっている可能性が高い。

 その上、ペットフードに酸化防止剤として二酸化硫黄が含まれる場合、肉に含まれるチアミンを破壊するために、犬および猫のチアミン欠乏症の原因となっている(最近はビタミンC・Eや植物抽出の抗酸化成分を利用するものが増えてきて、いい傾向ではあるが)。

 ところで、チアミンは、塩酸塩・硝酸塩・燐酸塩があるが、通常は安価な塩酸チアミンが医薬品アンプルやサプリなどに多い。 
 というのも、どの形態のものでも体内で使用されるときには、リン酸化を受け、どうせ燐酸チアミンになるから、敢えて高い燐酸塩でなくても良いとされるからだ。

 しかし、糖尿病や癌性の悪液質といった病態下では、リン酸化がうまくいかないので、バイオアベイラビリティを上げるためには高価でもリン塩を最初から用いるべきだ。この程度のことも知らない医師・獣医師が多い。

 市販の製品では、第一・三共の「ビタメジン静注用」(薬価=145円/バイアル)がそうである。生食で20mlにして使用するが、1バイアル中に、リン酸チアミン=100mg・B6=100mg・B12=1mcg含有である。
 私はかかりつけの獣医師に頼んで、自分の猫用にはビタメジンをもらっている。

 糖尿病ネコの特徴の一つとして、間歇性跛行があるが、これはヒトの場合、動脈閉塞が理由のものと神経性のものがあるが、ネコはチアミン不足から来る神経炎で同様の症状が生じているのではないか?と素人ながら私は想像している(現在調査中)。【追記:2011.3.10/この正月にタマが悪化し、間歇性跛行を発症。ビタメジン大量投与と食餌=m/dへのMg大量添加[米国製サプリでCa:Mg=1:2の逆比になっているものにグルコン酸Znも添加。Mg100mg/日相当量]で症状を消失させました。このケースは、いわば「1例報告」ではあっても、この状態が可逆的反応で治癒できたことからも、上の私の理論の正しさは明らか】

 また室内飼いのネコに糖尿病が多いという点からは、ビタミンDと膵臓の関連を考えてしまう。フードにDが入っているとは言っても、どの程度給餌時まで残っているかはあやしいし、個体ごとの要求量は遺伝的には本来異なるはずである。生まれてからずっと室内飼いで、ヴェランダや窓が南向きでないなどの理由で、日光浴ができない飼育状態ならD不足が原因の一つになっていてもおかしくない。

 因みに無知な獣医師は知らないが、膵β細胞には活性型ビタミンDレセプターが存在するのだ。だから、人間の幼児の場合は、高用量ビタミンD投与がI型糖尿病の発症を低下させているというエピデンスもあるくらいだ。私は人間用タラ肝油由来のビタミンA&D[10000 IU & 400 IU]を週1回与えている。

 糖尿病といえば、ビオチンの不足もあやしい。腸内細菌叢(フローラ)によっては必要量が腸内合成されているかどうか怪しいのだ。フードにそれを意図して強化しているメーカーはあるのか。しかも動物病院では、人間の医院以上に、めったやたらに抗生物質の投与をしているのだ。私は海外製の1カプセル 1000mcg=1mgのビオチンを輸入してタマに適宜与えている。

 それから歯周病である。ネコにキャットフードを食べさせると歯垢が付きやすくなる。歯周病の炎症によるサイトカインがβ細胞をダメにするというのは最近はヒトでも言われていることだ。
 歯周病を、糖尿病の合併症ではなく、逆に原因であると考えて治療をし、悪化しうる要素は一つでも減らしてゆくという姿勢が必要なはずだ。うちのタマもクリーニングと抜歯をしてからは血糖のコントロールが効きやすくなった。

 ネコはヘモグロビンの構造がヒトと違うため、HbA1cが使えないので、フルクトサミン値しか使えない。東大でネコのHbA1c測定系を開発中という話を聞いたが、その後どうなったかは寡聞にして知らない。ネット検索してもひっかからない。

 ポーリングが序文を書いた"The Cat & VItamin Book"を米の古書店から入手して以降、ヒトの分子医学と分子矯正医学、獣医学とを結合しようと研究中だが、獣医領域の勉強が著しく遅れている。
 ネット上に分子矯正医学に興味の有る=儲け主義ではなく、対因療法を追究する獣医師がいれば、意見を交換しながらネコのための医療を探究できるのになぁ……。

 拙ブログ記事「マグネシウム摂取不足の解消こそが糖尿病の増加を抑える

 猫の糖尿病
 http://www.pet-hospital.org/cat-007.htm#cat-007-25

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愛猫タマの糖尿病併発性貧血その後(090222現在の近況を付加更新)。 [獣医学]

 070607付『II型糖尿病患者の多くでHb値が低下』という記事(http://blog.so-net.ne.jp/orthomolecular/2007-06-07)のコメントとして、うちのタマの貧血について記しました。

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海外メーカー製キャット&ドッグフードに毒物混入製品あり[Catsduke訳] [獣医学]

ASPCA Pet Food Recall Center


<最新情報を求める飼い主さんはペットフード・リコールセンターに>

 先週末の記者会見で、ASPCAから提起された「最近リコールされた汚染されたフードペットを経口摂取したペットの病気や死亡は成分のアミノプテリン以外の混入物が原因ではないか」という疑義について、米FDAと加メニューフーズ社が確認した。混入物のメラミンはリコールされたロット中の小麦グルテンのサンプルから発見された。

 この事態へ迅速に対応するため、ヒルズ・ペット・ニュートリション社は「プレスクリプション・ダイエット m/d 猫用ドライフード」----唯一小麦グルテンを含む製品----を自発的にリコールした。


【写真:アメリカ販売の製品=日本での並行輸入品】

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[拙訳]ランタス[=グラルギン]の糖尿病ネコに対する使い方 [獣医学]

 以下は「Using Glargine In Diabetic Cats」(2006.6)のCatsdukeによる翻訳です(禁無断転載。無論、リンクはご自由になさって結構です)。

 著者は、オーストラリアのクイーンズランド大獣医学部・コンパニオンアニマル健康センターのRhett Marshall とJacquie Randです。前者はブリスベンのクリークロード・キャット・クリニックにも所属しています。Medline検索でも分かる通り、後者は数多くのネコ・イヌと糖尿病に関する論文を発表しています。ネコと糖尿病に関する基本文献といえるものが多いです。


 元になった論文が2006年にアップデートされ、このクイーンズランド大獣医学部HP掲載の論文となっていましたが、数名の獣医師の方による元論文=旧論文の部分訳がネット上で散見される程度だったため、私が全訳しました。

 但し、誤訳等もあり得ますので、何かの参考になさる場合は、一般の飼い主の方は必ずかかりつけの獣医師の先生に、以下の内容を確認していただいた上(さらに同大HP英語原文=University of Queensland "Information On Use of Glargine in Diabetic Cats"[090416追記:現在リンク切れにつき、このリンクは同一文章を引用したdrjohnsons.comのものをリンクしておきます。また同大サイト上の文章としては「抄文」を紹介しておきます]も参照・対照の上)で、お願いします読者が本文を参考にご自身で勝手に行った治療に関わる一切の結果には責任を負いかねます

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糖尿病のネコのために [獣医学]

 BDの日本支社のHPによると、「BDロードーズ」(U-100インスリン用・30U未満投与用/0.3ccシリンジ)は1種類しかなく、1目盛り1単位のものしかありません。

 しかし、これですと、うちのタマのように、0.25〜0.4〜0.5等という1回量の微調整はし難いです。ランタス=グラルギンは、その長時間作用がpH依存性なので、10倍希釈して(=1目盛りを0.1に見立てて)微量投与するという訳には行かないので、なおのことです。

 ところが、1目盛り0.5のシリンジが有り、0.5が確実なら、0.4はシリンジのピストンを押さずに「回す」ようにして、針先から小さく1滴を絞るようにすれば、0.4を調整可能ですし、目分量とは言いながら、0.5を2等分して0.25も比較的調整しやすいです。少なくとも1単位を目分量で1/4にするよりはまだ正確です。実験室用のマイクロシリンジを使う訳に行かない以上、そういう選択肢が欲しいところです。

 BDはアメリカで0.5単位の製品を出しています。以下はアメリカのBD社HPの画像です。

 それどころか、この自社シリンジを用いた糖尿病ネコ・イヌ個別の注射のコツや治療に関する詳細を説明したHPまで設けています。紹介しておきます。

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ネコの健康管理に便利なもの [獣医学]

 動物病院の体重計は、動物用とはいえ、普通の上皿秤だったり、診察台が体重計になっているものだったりで、不正確です。代謝量を算出するために必要な場合のような厳密な測定の頻度はめったにないにせよ、食餌量・飲水量・便重や尿量・点滴量も分かっていて、正味の体重の増減を知りたいような病態では、よほどの肥満ネコを除いて、大半の体重が5〜6kg未満である猫の体重測定に100g単位の計量などあまりに大雑把です。
 とはいえ、赤ちゃん用ベビースケールは秤量10kg・目量2gで小動物用に良いとはいうものの、6〜7万円しますし、精肉店で使用しているような、例えば、ヤマトのデジタル上皿デジタル秤は秤量6kg・目量2gですが。これも3万前後してしまいます。

 ちなみに、私は


SK-10k(秤量10kg・目量5g)に深めの洗濯カゴを載せて使用しています(すぐには逃げられません。笑)。これなら1万前後で、正確な測定が可能です。

(最近でこそ、ネットですぐに買えますが、私がこのクラスの正確な電子秤を探して買ったときには、大阪・日本橋の秤専門店で取り寄せて貰ってやっと入手できた代物です。なお私の購入時はこの製品は目量5gでしたが、現行商品は10gに精度が落ちています。非証明用商品なので証明用途の商品と差別化したのでしょう)

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抗酸化サプリのα-リポ酸は、ネコには禁忌? [獣医学]

 コンビニで販売されているDHC社のサプリメントなどで、我が国でも入手しやすくなったα-リポ酸(チオクト酸。1,2-ジチオラン-3-吉草酸)ですが、人間の場合は、糖尿病の神経障害にも効果があるとされており、欧州では医薬品扱いもされている抗酸化サプリメントです。

 しかしネコに対しては人間/イヌ/ラットの10倍も毒性が強いと、カリフォルニア大デービス校・分子生物科学学部(臨床科学)のHill・Rogers両氏と獣医学部のWerner・O'Neill・Christopherの三氏(病理学・微生物学・免疫学)による共同研究として Journal of Animal Physiology and Animal Nutrition(Volume 88 Issue 3-4 Page 150)で報告がありました。



 論文「Lipoic acid is 10 times more toxic in cats than reported in humans, dogs or rats」の以下はアブストラクトです(Catsduke翻訳)

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甘味料キシリトール、犬には危険 [獣医学]

 シュガーレスの菓子類に広く使用されている人工甘味料キシリトールが、犬の肝臓に障害を起こす可能性があり、場合によっては死に至らせる危険もあると、米国の獣医師らが、米獣医学協会のジャーナルJournal of the American Veterinary Medical Association(229:1113-1117)の論文「8頭のイヌのキシリトールの経口摂取による急性肝不全および凝固障害」で警告した。

 この報告を受け、砂糖の代わりとして使用されるキシリトールと肝機能不全など犬の病気との関連を疑う声が強まりそうだ。

 報告書を共同執筆したグワルトニー・ブラント女史によれば、犬はキシリトールを少量でも摂取すると大量のインシュリンを放出し、その結果血糖値が下がり、命に危険が生じるという。

 同氏は「体重10キロの犬が1グラムのキシリトールを消費した場合でも治療が必要になる」としている。ただ、キシリトールと肝臓への影響を結論付けるにはさらなる研究が必要だとも話した

【参考記事】

"Cases of xylitol poisoning in dogs rise" Oct 1, 2006
http://www.avma.org/onlnews/javma/oct06/061001b.asp


"Sweetener xylitol can be toxic to dogs" Sept 1, 2004
http://www.avma.org/onlnews/javma/sep04/040901c.asp


"No Sugar Coating: Products Sweetened With Xylitol Can Be Toxic To Dog"
http://www.aspca.org/site/PageServer?pagename=press_082106

【コメント】
 緊急プレスリリース061001
  http://www.avma.org/press/releases/061001_xylitol.pdf では、
ネコの深刻なキシリトール中毒事例は報告されていない
「もしネコの曝露例に遭遇すれば、念のために血糖値のチェックをせねばならない」
とDr. グワルトニー・ブラントは言っています。


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