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抗酸化サプリで男性の全癌罹患率低下〜野菜や果物の有効性を再確認 [抗酸化剤]

 パリの仏国立衛生医学研究所(INSERM)のServe Hercberg博士らは、フランス人成人1万3,107例を対象とした試験で低用量抗酸化サプリメントが男性の全癌リスクを減少させることをArchives of Internal Medicine(2004; 164: 2335-2342)に発表。この結果は、野菜や果物の多量摂取の有効性を再確認するものだと結論している。


【試験前の低濃度が逆に効果招く】
 Hercberg博士らは「低用量抗酸化サプリメントを摂取してから7.5年後、男性の全癌罹患率と全死亡率が低下したが、女性では低下しなかった。抗酸化サプリメントが男性だけに有効であるのは、一部の抗酸化物質、特にβカロチンの血中濃度が試験前に男性では低かったからである」と説明している。

 36〜60歳の女性7,876例、45〜60歳の男性5,141例が試験に登録。危険因子による被験者の選別は行わなかった。被験者をビタミンC 120mg、ビタミンE 30mg、β-カロチン 6mg、セレン100μg、亜鉛20mgを含むカプセルを毎日服用するサプリメント群とプラセボ群にランダム化割り付けした。

 性別で分析した結果、男性では抗酸化物質の癌予防効果が認められた(相対リスクRR=0.69)が、女性では認められなかった(RR=1.04)。同様に、男性では全死亡率に対する効果が認められた(RR=0.63)が、女性では認められなかった(RR=1.03)。

 投与された抗酸化物質の量は、野菜や果物を含む健康的な食事で摂取可能な量であった。同博士らはサプリメント群に抗酸化サプリメントのカプセルを投与したが、野菜や果物の豊富な食事についても報告。「バランスの取れた適切な抗酸化栄養素を豊富に含む野菜や果物で取れる量だけ補充すれば、男性では癌の予防効果が認められることが示唆された。


 したがって、男性では抗酸化物質の補充による血中抗酸化物質濃度の改善が癌予防になることが証明された。このことは、果物や野菜を摂取することの有効性に関する前向き観察研究の結果を確認するものだ。生涯にわたって抗酸化物質が豊富な食品を食事で取るのがよいと一般的に勧められているが、今回の研究でこの勧告が強化されるだろう」と述べている。


【全生化学指標が上昇】
 男性では有効性が示されたのに対して、女性ではサプリメント群とプラセボ群で成績が同等であった。全体的に見ると、癌罹患率はサプリメント群で4.1%、プラセボ群で4.5%、心血管疾患(CVD)罹患率はそれぞれで2.1%、2.1%、全死亡率は1.2%、1.5%であった。

 Hercberg博士らは「データ分析において統計学的優位性が小さいため、男性だけの癌(例えば前立腺癌)のパターンから今回の結果を説明できる可能性は完全に除外できない。しかし、データがその可能性を裏づけているわけでもない」と明言している。

 重要なのは、プラセボ群の男性のうちカロチン濃度が下位5分の1の男性では、上位5分の1の男性に比べ癌罹患率が有意に上昇していたことである。プラセボ群では、CVDについても同様のパターンが見られた。

 もう1つ重要なのは、女性の6.7%、男性の4.4%が試験参加の同意を撤回したことである。撤回者のうち5.4%が抗酸化サプリメント群、6.2%がプラセボ群であった。同博士らは「被験者は、自身のフォローアップに積極的な役目を果たさなければならないボランティア」と説明。つまり、既に彼らの治療に当たっている医療専門家によりフォローアップされたわけではなく、被験者自身がより積極的な役割を果たさなければならなかった。

 試験終了時、被験者の74%が全カプセルの3分の2以上を服用したと申告。サプリメント群とプラセボ群の間にカプセル服用量の差はなかった。β-カロチン、ビタミンC、セレンのサプリメント服用2年後と7年後に、すべての生化学マーカーで統計学的に有意な上昇が見られたとしており、コンプライアンスを裏づけている。


【これまでの研究結果を再確認】
 試験の最も重要な成果は、食事からの抗酸化栄養素と組み合わせた低用量抗酸化サプリメントの有効性に関するこれまでの研究結果を再確認したことである。Hercberg博士らは「われわれの結果は、各種抗酸化サプリメントのCVDに与える影響を評価したすべての1次予防試験とほとんどの1次予防試験の結果と一致する。ケンブリッジ心臓抗酸化物質試験のみが、高用量ビタミンE補充後のCVD再発率のわずかな低下を報告した」と述べている。

 したがって、重要な疑問は平均的患者が抗酸化物質を服用すべきかどうかではなく、有効な抗酸化物質濃度はどの程度か、どのような抗酸化物質を組み合わせるべきかである。抗酸化物質自体は、使い方次第で毒にも薬にもなる。抗酸化物質とフリーラジカルはいずれも有効性の幅も広いが毒性の幅も広く、有効性の不確かな物質なのである。

 このように今回の試験と、効果を見出せなかった医師健康試験、女性健康試験、有害作用すら見られたこれまでの抗酸化サプリメントによる癌の1次予防試験(α-トコフェロール、β-カロチン癌予防試験、β-カロチン・レチノール有効性試験)の主要な差は、投与した抗酸化サプリメントの量・種類、被験者の募集方法・選抜基準、母集団の特質などが要因である。


【男性はもともと低濃度】
 また注意すべきことは、今回の試験に登録した被験者は癌リスクが高くない(ヘビースモーカーでない、職業性発癌物質に曝露していない)うえ、栄養的に不利な文化に属していない点である。
 Hercberg博士らは、この試験を「われわれの知る限り、初めて先進国で実施、報告された男女対象の低用量抗酸化物質による1次予防試験」と評価している。

 しかし、抗酸化サプリメントの有効性が男性のみに認められたのは、治療前での栄養摂取量や一部の抗酸化物質、特にβ-カロチンの濃度が女性より男性で低かったからであると示唆しており、これまでの複数の試験でも、女性は男性に比べて抗酸化物質濃度が高いことが証明されている。

 同博士らは「治療前の血清β-カロチン濃度と癌リスクの逆相関関係は、多くの観察研究で指摘されている。この逆相関関係がプラセボ群の男性で見られ、女性で見られなかったのは、男性の治療前のβ-カロチン濃度が低いからである。サプリメント服用7.5年後、男性の血清β-カロチン濃度はプラセボ群の女性と同濃度に達した。サプリメントの癌罹患率抑制効果は(われわれの試験の男性のように)、抗酸化物質濃度が至適値以下の人で、十分量の抗酸化物質の摂取により抗酸化物質濃度を正常化しうることと関係すると思われる」と述べている。[MT誌。05年2月17日 (VOL.38 NO.7) p.30]


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