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初回手術が血管新生を誘発----若年休止期乳癌患者で再発促進

 ボストン小児病院血管生物学プログラムのMichael Retsky博士らが乳癌再発に関する異なる2つの独立したデータベースについて分析を行ったところ、初回の腫瘍外科手術は、既に存在していた休止期乳癌転移巣における血管新生を間接的に誘導しているとの証拠が得られた。これにより、若年乳癌患者に見られる早期再発パターンの説明が可能となったとInternational Journal of Surgery(Vol.3 Issue3)に発表した。

【20%が10か月以内に再発】
  3つの臨床試験に参加し、外科手術後にさらに程度の進んだ治療を受けていない女性乳癌患者1,173例のデータを分析した今回の研究結果によると、再発の時期は手術18か月後と5年後の二峰性であった。より詳しい分析の結果,閉経前の患者のうちリンパ節陽性患者(リンパ節への癌転移を有する)は20%で、初回の腫瘍摘除後10か月以内に再発していた。

 Retsky博士らは、この知見は40〜49歳の患者におけるいわゆる「乳房造影のパラドックス」の説明となるものであると確信している。このパラドックスとは、スクリーニングを受けた集団の死亡率が、対照群に比べて直感に反して一時的に過多になることを指す。

 同博士らのデータベースに基づく計算によると,外科手術により血管新生が平均2年早まり,3年後のスクリーニング時には若年女性1,000人当たり0.11人の早期死亡がもたらされるという。過多死亡の予測時期と規模は、実際の治験データと再発パターンに一致していた。

【生物学的な機序が関与】
 再発の生物学的機序については研究対象としなかったが、原発腫瘍が血管新生抑制作用のある物質を分泌し、それが自然に転移性腫瘍の成長を抑制していることが判明しており、手術で原発腫瘍を取り除くことで抑制が解き放たれてしまうことになる
 別の言い方をすれば、外科手術は創傷治癒機構を通じて血管新生促進物質の放出に拍車をかけることになる

 Retsky博士は「100年以上にわたり,外科手術後に癌が成長することが観察されているが,その機序はよくわかっていない」とコメントし,「われわれの分析によると、手術中に問題が起こるというよりも生物学的な機構がその原因と考えられる。
 また乳癌の早期発見は若い女性にとっての福音とされるものの、少数とはいえ転移により再発や癌死も認められている。今回の研究は癌の急激な増殖を予防する治療的な過程を示唆するものである。

 今回の研究結果は、リンパ節転移巣のある若年女性患者に対する治療方針を考える際に考慮されるべきものであるが、その理由はアジュバント療法の効果が偶然ではないはずだからである。
 「若年女性患者には,乳房造影のインフォームド・コンセントの前に腫瘍増殖促進と早期再発リスクについて知らせるべきである」と付け加えている。


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