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ビタミンD欠乏で子宮内膜癌が増加 [ビタミンD]

 カリフォルニア大学サンディエゴ校の家庭・予防医学のCedric F. Garland教授らは、世界的視点からの新しい研究によって、ビタミンD摂取が不十分な女性では子宮内膜癌リスクが増加することを示し、Preventive Medicine(2007; 45: 327-331)に発表した。ビタミンDは太陽の紫外線を浴びたり、食物・サプリメントを摂取することで得ることができる。


<予防プログラムに含めるべき>
 Garland教授は「われわれの知る限り、今回の試験はビタミンDレベルが高いと子宮内膜癌リスクが低下するという相関を示した初めてのものである。これまでの疫学研究は子宮内膜癌の発症に重要な役割を果たしている生来の、またはホルモン補充療法によるエストロゲン濃度や、程度は低いが発症に関与している脂質摂取量に注目していた。
 ほとんどの女性は生来のエストロゲン濃度を調節することはできず、多くの米国女性には脂質レベルを極少量に抑えることは受け入れられないため、今回の論文は、十分量のビタミンD摂取を包括的な子宮内膜癌の予防プログラムの一部として考慮すべきであるというエビデンスを提供した」と述べている。
 世界における子宮内膜癌症例は毎年約20万人、死亡例は約5万人、そのうち新規症例4万1,000人、死亡例7,400人が米国人であるという。

<他の癌でも同様の現象>
 日光、特にUV-Bを浴びることが体内におけるビタミンD3光合成の引き金となるが、ビタミンD3は食事やサプリメントから摂取することも可能である。Garland教授らのこれまでの研究でも、ビタミンD3値が高いと乳癌・大腸癌・腎臓癌・卵巣癌などの発症リスクが低下することが示されている。
 同教授らは「今回の子宮内膜癌発症率に関する世界規模の新しい研究は、WHOの国際癌研究機関(IARC)が作成したGLOBOCANを通してWHOの世界的なデータを新たに入手できたことから可能になった」と述べている。GLOBOCANは175か国の癌に関する発症率、有病率、死亡率のデータベースである。
 今回の研究では、一般的に南半球でも北半球でも緯度が高いと子宮内膜癌の発症率が高くなることも示された。

 今回の論文は同教授らがビタミンD3不足と癌との関連について発表した3報目の論文である。
1報目は International Journal of Cancer(2006; 119: 2705-2709)

でビタミンD3欠乏と腎臓癌の関連について、
2報目はAmerican Journal of Preventive Medicine(2006; 31: 512-514)

でビタミンD3欠乏と卵巣癌との関係について報告している。[MT08年1月24日(VOL.41 NO.4)< p.74]

【コメント】
 ビタミンDに関しては、以下の専門書・一般書を参考にしてください。

岡野登志夫『ビタミンDと疾患ー基礎と臨床からの考察』 医薬ジャーナル社(2000)


中村・松本・加藤『骨代謝と活性型ビタミンD』ライフ・サイエンス出版(2006)


平柳 要『がん予防に実は「日光浴」が有効なわけービタミンDの驚きの効力』講談社+α新書(2008)


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