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ビタミンCサプリメントの服用が痛風の予防に役立つ [ビタミンC]

 米国国立衛生研究所(NIH)の協力で行われた、バンクーバー総合病院とブリティッシュコロンビア大学のHyon K. Choi, MD, DrPHらによる、ビタミンCの補充が痛風の予防に役立つ可能性があるという研究、"Vitamin C Intake and the Risk of Gout in Men: A Prospective Study"(「男性のビタミンC摂取と痛風リスク:前向き研究」)が、"Archives of Internal Medicine"[2009;169(5):502-507.]で報告された。


ABSTRACT
Background
Several metabolic studies and a recent double-blind, placebo-controlled, randomized trial have shown that higher vitamin C intake significantly reduces serum uric acid levels. Yet the relation with risk of gout is unknown.
Methods
We prospectively examined, from 1986 through 2006, relation between vitamin C intake and risk of incident gout in 46 994 male participants with no history of gout at baseline. We used a supplementary questionnaire to ascertain the American College of Rheumatology criteria for gout. Vitamin C intake was assessed every 4 years through validated questionnaires.
Results 
During the 20 years of follow-up, we documented 1317 confirmed incident cases of gout. Compared with men with vitamin C intake less than 250 mg/d, the multivariate relative risk (RR) of gout was 0.83 (95% confidence interval [CI], 0.71-0.97) for total vitamin C intake of 500 to 999 mg/d, 0.66 (0.52-0.86) for 1000 to 1499 mg/d, and 0.55 (0.38-0.80) for 1500 mg/d or greater (P < .001 for trend). The multivariate RR per 500-mg increase in total daily vitamin C intake was 0.83 (95% CI, 0.77-0.90). Compared with men who did not use supplemental vitamin C, the multivariate RR of gout was 0.66 (95% CI, 0.49-0.88) for supplemental vitamin C intake of 1000 to 1499 mg/d and 0.55 (0.36-0.86) for 1500 mg/d or greater (P < .001 for trend).



【背景】いくつかの代謝研究および最近の二重盲検プラセボ対照ランダム化試験で、ビタミンC摂取を増やせば血清尿酸レベルが有意に低下することが示されているが、痛風リスクとの関係は未知だとされている。

【方法】我々は、1986 - 2006年に、ベースライン時に痛風の既往がなかった46,994例の男性被験者のビタミンC摂取と偶発的に発生する痛風リスクとの関連の評価のために前向き研究を行った。米国リウマチ学会の痛風基準の確認に補足質問票を使用した上に、妥当性が証明された質問票を使用し、4年おきにビタミンC摂取量を調査した。

【結果】20年間にわたる追跡調査の期間中、偶発的な痛風症例が1317例確認された。ビタミンC摂取量が250mg/日未満の男性と比較して、ビタミンC総摂取量が500 - 999mg/日の男性の痛風の多変量相対リスク(RR)は0.83(95%信頼区間 [CI]・0.71 - 0.97)であった。ビタミンC摂取量が1000 - 1499mg/日の男性のRRは0.66(95% CI・0.52 - 0.86)で、1500mg/日以上の男性のRRは0.55(95% CI・0.38 - 0.80;傾向検定における有意確率 P<0.001)だった。1日あたり総ビタミンC摂取量500mgの増加に伴う、多変量RRは0.83(95% CI・0.77 - 0.90)だった。

 これらの関連は、食事に関連する痛風のリスクファクターや、他の痛風のリスクファクター(BMI・年齢・高血圧・利尿薬服用・飲酒、および慢性腎不全など)とは独立しており、BMI・飲酒・乳製品の摂取によって層化した各サブグループにおいて認められた。

 ビタミンCサプリメントを服用しなかった男性と比べて、1000 - 1499mg/日のビタミンCサプリメントを服用した男性の痛風の多変量RRは0.66(95% CI・0.49 - 0.88)で、1500mg/日以上では0.55(95% CI・0.36 - 0.86)だった(傾向検定における有意確率P<0.001)。


「ビタミンCの高摂取量と痛風の低リスクには独立した関連があり、ビタミンCサプリメントの服用が、痛風予防に有益である可能性がある」と著者らは述べている。本研究の限界には、食事の摂取について質問票によって自己報告したこと、観察研究のデザインであること、関節液中の尿酸結晶の観察によって痛風の診断を確認していないこと、および医療関係者に限定されているため、一般化の可能性が限られることが含まれる。

 米国国立衛生研究所(NIH)とTAP Pharmaceuticals社が本研究を部分的に支援したが、著者らは利害関係はないと発表している。


【コメント】
 かつては尿酸は痛風の原因物質として、単なる「悪玉」されていましたが、抗酸化物質に関する知見が一般化してきた今となっては、見方が百八十度変わったといっても過言ではありません。

 哺乳動物の血中尿酸値の高さと寿命が相関しているという知識が知られるようになりました。
 つまり、ビタミンC合成能力を失った人間は、ジャングルに暮らしていた頃は豊富な果物を利用してそれを補ってきた訳ですが、エデンであるアフリカのジャングルを出て、世界に広がってからは、のちに野菜となる植物などから摂取できない場合は、重度の場合、いわゆる壊血病という欠乏症状になります。これが船乗りに多発し、それがライム果汁やザワークラウトの摂取で予防できたことが、1932年の壊血病の原因発見につながりました。
 ただ、重度のものではないにせよ、現代人の場合、古典的な壊血病症状が発症するまでのことはないにせよ、野菜不足など食生活の偏りなどから、慢性的かつ軽度な欠乏状態にあるといえます。

 自分でビタミンC合成能力を持つ多くの動物は、ストレス環境によって、その合成量が5倍〜10倍のオーダーで変化する事が知られています。例えば、ネズミを回転車や水泳させるような高ストレス環境におくと、合成量が跳ね上がります。それはストレスホルモンであるコルチゾールの合成にもその代謝にもビタミンCが必要になるため、大量に消耗してしまうからです。このことは人間においても原理的には全く同様です。

 ストレスが過多であると、コルチゾール合成量が増えます。ナチュラルキラー細胞はコルチゾールのレセプターを持っています。従って、ストレスが過多な環境ではNK細胞が死んでしまい免疫力が低下しまうのです。新潟大の安保先生が「癌患者の多くは、近親者の死を初めとする大きなストレス環境の後で発癌することが多い」と仰るのは、そのような意味においてです。
 逆に言えば、ビタミンCを必要最低限量ではなく、オプチマルな量を摂取できていれば、発癌を抑制し、白血球の活動能や抗体産生や内因性インターフェロン合成能も活性化するので、免疫力が増強し、風邪やインフルエンザなどの感染症にも強くなるのです。

 しかるに、まだまだ古典的栄養学のパラダイムが支配している日本の一般医学の世界では、病態に応じて多めに補給するという発想に欠けています。多くの現代人が、職業的にも高ストレス環境におかれており、まだまだ喫煙者が多かったり、若者を中心に野菜不足に陥っていたりで、食餌から十分なビタミンCが得難い上に、摂取量が各自のストレス環境=個体差に応じた必要量を反映していない状況であるにも関わらずです。

 SODなどの活性酸素消去酵素を除けば、人間が自前で合成できる低分子抗酸化物質は、尿酸しかありません。人間の場合160〜450μMol/Lと、本来なら不要なはずの尿酸の値が上がっているのは、生体の合目的的な生産=適応の結果であるということが、その蓋然性から理解されるようになってきたのです。すなわち尿酸のスカベンジャー効果が比較的高かったからで、尿酸は食餌由来のビタミンC=外因性抗酸化物質が得られない際の代償性のスカベンジャー、すなわち人間が唯一自前で作りうる=内因性の低分子抗酸化物質としての役割があった訳です。

 冒頭にも書きましたように、人間の血中尿酸値は元来(針状)結晶化する限界値近くまで高いのが、他動物に比しての特徴なのです。ところで、高尿酸血症に関して言えば、ここにビタミンAが十分に摂取されていて、血中レチノール濃度が高いと結晶化が押さえられるという事実があります。従って、針状結晶化して、いわゆる痛風になっている場合には、Cの欠乏のみならず、これも「鳥目」という(ロドプシンに関わる)古典的欠乏症にまでには至っていないにせよ、オプチマルな摂取量からすればAの潜在的欠乏も疑われる訳です。
 これが中年以降の痛風患者さんの場合、そのA不足によって、免疫力の低下から風邪にかかりやすかったり、上皮細胞分裂に弱点を抱えている為に、医薬品の服用で胃が荒れやすかったり、いわゆる「魚の目」などの皮膚症状があったり、コンドロイチン硫酸合成が弱くて膝に弱みを抱えていたりといった症状が個体差によっては併存している可能性も高いでしょう。三石 巌はこのことを早くから指摘していました。師はビタミンCの不足に関わるカスケード理論を提唱していましたが、それはAにおいても全く同じ事が言えるはずだからです。

 またCが欠乏しているからには、尿酸だけではビタミンEの再生が効きにくいと思われるので、Eの潜在的欠乏がある可能性も高くなります。従って、総合的な食生活の正常化に留意しつつ、抗酸化ビタミン類のみならぬ、総合的なサプリメントの対症療法的服用が必要になってくるでしょう。農薬・除草剤を多用し、過肥料で連作される今時の野菜中のビタミン類は成分表の含有量などないことは自明だからです。

 もはや痛風・リウマチ専門医なら誰も肯定しませんが、かつては「プリン体」が尿酸の原因物質だからと、摂取を禁じ、「焼肉屋でビールなどもってのほか!」と無意味に食餌制限をしましたが、今や上の事情から、内因性で合成されるものであるが故に、肉にもビールにも原因を求めないのが常識です。  未だに普通の内科医や短大卒程度の栄養士レベルに残るような古い迷信に基づいた「プリン体カットビール」なる噴飯物で今なお商売させているのは、もはや犯罪といっても過言ではないでしょう。
 ちなみに、Dohertyが今年発表した論文「痛風の疫学的新知見」("New insights into the epidemiology of gout."[Rheumatology 2009;48 Suppl 2:ii2-ii8]




でも、「最近の研究では、食餌のリスクとしては肉食・果糖・ビールの多量摂取と痛風は相関しないとされており、コーヒー・低脂肪食・ビタミンC摂取はリスク低下と相関している」と、もはや常識として指摘されています。

ちなみに、拙ブログ過去記事「血中尿酸塩値が高いことがパーキンソン病のリスクに保護的に作用」も御覧下さい。

なお、ビタミンC一般に関しては、以下の一般書・専門書を参考にしてください。

村田 晃『新ビタミンCと健康―21世紀のヘルスケア』共立出版(1999)




ポーリング博士のビタミンC健康法』平凡社(1995)




Pauling & Cameron『Cancer and Vitamin C』(1993増補版)



木本 英治『l-アスコルビン酸カスケード』開成出版(1994)*木本 福岡大理学部名誉教授は今秋永眠されました。日本ビタミン学会の末席を汚す者として、先生のご逝去を悼み、学恩に感謝親します。

三羽信比古『ビタミンCの知られざる働き―生体への劇的な活性化メカニズム』丸善(1992)

三羽信比古『バイオ抗酸化剤プロビタミンC皮膚障害・ガン・老化の防御と実用化研究フレグランスジャーナル社(1999)



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もも

肉食・果糖・ビールの多量摂取と痛風は相関しない!?
目から鱗の情報です! 叔父は上記の物を禁止される食事指導をされています!
マルチビタミン大切なんですね
叔父に教えて 私も摂るようにします(^.^)
by もも (2010-01-18 23:59) 

Aus911Truth

Catsduke Poitrineさん、

はじめまして。

「横着者の健康法」さんのサイトで「救世主現る」として紹介されていたあなたのお書きになった「大半の臨床医は自分を過信している」で始まる文章を、是非私のブログや、阿修羅掲示板に転載させて戴きたいと思ってコメントしております。阿修羅は、
http://asyura.com/
そこの「口蹄疫・豚鳥新型インフルエンザ02」に転載しようと思います。

タミフルもひどいものですが、この子宮頸癌ワクチンというマーク(メルク)とグラクソの新たな詐欺&薬害も本当にひどい! しかし、大多数の日本人は何も知らされずに一部で公費負担などの措置が取られ、小さい女の子においしいことばかり言ってだまして打たせているのが許せないのです。

これまで関連で、

「最悪の副作用は、接種直後に死亡する可能性があること」と言われたら? - 子宮頸癌ワクチンは絶対に受けないで!!
http://insidejobjp.blogspot.com/2010/02/blog-post.html

ガーダシルによる被害 ギャビーの親友から - 子宮頸癌ワクチンは打たないで! #2
http://insidejobjp.blogspot.com/2010/02/2.html

子宮頸癌はヒトパピロマウィルスが原因か? - 子宮頸癌ワクチンは打たないで!#3
http://insidejobjp.blogspot.com/2010/02/3.html

"トゥリーマン"の異常現象の原因 - 子宮頸癌ワクチンは打たないで!#4
http://insidejobjp.blogspot.com/2010/02/4.html

杉並区役所あて 「区政へのご意見・ご要望・ご提案など」
(志木市役所にも出しました。)
http://insidejobjp.blogspot.com/2010/03/blog-post_04.html

メルセデス・ベンツ社の専門家、「スピードが死亡事故を起こすわけではない」
http://insidejobjp.blogspot.com/2010/03/blog-post_07.html

新型インフルワクチンのみならず、子宮頸癌ワクチンでも流産!
http://insidejobjp.blogspot.com/2010/03/blog-post_08.html

【週刊朝日】 子宮頸がん予防ワクチンキャンペーンの「危うさ」-現役産婦人科医が警鐘
http://insidejobjp.blogspot.com/2010/04/blog-post_08.html

インドでガーダシルの研究プログラム、死亡者が出たため緊急停止さる
http://insidejobjp.blogspot.com/2010/04/blog-post_10.html

現在進行形の"人体実験"である子宮頸癌ワクチン
http://insidejobjp.blogspot.com/2010/04/blog-post_11.html

大田原市市長へ送った質問メール
http://insidejobjp.blogspot.com/2010/05/blog-post_6847.html

「全額助成」で毒入りワクチンを女子に接種させ始めた大田原市
http://insidejobjp.blogspot.com/2010/05/blog-post_13.html

出来レースだったノーベル賞 - 子宮頸癌ワクチンは打たないで!
http://insidejobjp.blogspot.com/2010/05/blog-post_14.html

徳島新聞へのメール&一番失望した「無視してる人」は - 子宮頸癌ワクチンは打たないで!
http://insidejobjp.blogspot.com/2010/05/blog-post_17.html

「性交で感染する」ってホントなの? - 子宮頸癌ワクチンは打たないで!
http://insidejobjp.blogspot.com/2010/05/blog-post_202.html

「原因」ではない「ヒトパピローマウィルス」 - 子宮頸癌ワクチンは打たないで!
http://insidejobjp.blogspot.com/2010/05/blog-post_24.html



ビル・ゲイツ - 新しいワクチンをホントにうまく使えば、世界人口を減らせる!
http://insidejobjp.blogspot.com/2010/03/blog-post.html

「世界を救う」男を演じ続けるビル・ゲイツ
http://insidejobjp.blogspot.com/2010/04/blog-post_3855.html

を書いてきました。
他のものではCatsdukeさんの気に入らない内容の投稿があるかもしれませんが、ここは医療詐欺阻止という目的で繋がって戴ければありがたいと存じます。

お返事、お待ちします。
by Aus911Truth (2010-05-25 14:13) 

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