海外メーカー製キャット&ドッグフードに毒物混入製品あり[Catsduke訳] [獣医学]
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先週末の記者会見で、ASPCAから提起された「最近リコールされた汚染されたフードペットを経口摂取したペットの病気や死亡は成分のアミノプテリン以外の混入物が原因ではないか」という疑義について、米FDAと加メニューフーズ社が確認した。混入物のメラミンはリコールされたロット中の小麦グルテンのサンプルから発見された。
この事態へ迅速に対応するため、ヒルズ・ペット・ニュートリション社は「プレスクリプション・ダイエット m/d 猫用ドライフード」----唯一小麦グルテンを含む製品----を自発的にリコールした。
この際にASPCAは、他のペットフードメーカーも自発的回収をする気があるのかどうかも同様に確信が持てなかったので、ペットの飼い主はペットフードメーカーに直接問い合わせるようにアドバイスした。
ペットの安全と健康の維持についての関心を飼い主と共有する我々ASPCAではあるが、その一方で、ドライフードの給餌をまったく控えるような、パニックに陥ったり短絡的な行動を取る必要は無いと消費者に周知徹底させたいとも考える。
「数種類のキャットフードとドッグフードには全くその処方に小麦グルテンが含まれない製品がある」とASPCAの獣医毒物学者スティーヴン・ハンセン博士は言う。また「その含有の有無については、フードのラベルか製造者から情報が得られる。もしあなたのペットが特定のタイプのフードしか食べないなら、急な製品の変更やタイプの切りかえはペットの胃に混乱をもたらしかねない。このことは基礎疾患を有するペットにとって特に問題になるかも知れない」と警告している。
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【コメント】
加・メニューフーズ社が中国産の小麦グルテンを使用して製造したペットフードを食べたイヌやネコの腎不全が相次いで報告され、死亡例も出ました。記事中にある成分アミノプテリンの混入は殺鼠剤として中国で用いられていたからのようです。
またメラミンはプラスチック製品の原料のあれですが、アジアでは肥料として使われています。そのせいで混入したものという論評も当初出ましたが、実際はそうではなく、タンパク質量の水増しのためのようです。
というのは、ペットフードのアミノ酸=タンパク質含有量はどう測定されているかというと、100年来変わらぬ標準的検査法であるケルダール法(酸で試料を溶かし、生じた窒素をアンモニアに変えて、そこから試料中の窒素量を導き、それをタンパク質量に換算する)やデュマ法(資料を燃やして放出させた窒素を測定する)を用いているからです。
これを逆手にとり、タンパク質以外に窒素を含むもの=不純物を敢えて混入する、すなわち窒素を豊富に含む化合物を利用すれば、試料中のタンパク質量を多く計算させることが可能になるわけで、それに利用されたのが窒素を多く含有するメラミンだった訳です。
FDAの記事です。
http://www.fda.gov/bbs/topics/NEWS/2007/NEW01599.html
コーネル大学・獣医学部も確認しました。
http://www.vet.cornell.edu/news/FoodRecall/prMarch30.htm
さて、日本に正規輸入されているロットに関しては、該当製品は無いと、動物病院に貼られていたメーカーの文書にありました。
日本ヒルズ・コルゲート株式会社
「北米ヒルズ自主回収製品は日本ヒルズ製品には該当しません」
http://www.hills.co.jp/news/reca070403.shtml
しかし、高価な処方食フード故に、海外フードの並行輸入を利用しているような場合には注意が必要ですので、愛猫家の為にここに翻訳掲載しました。また、元々、m/d 猫用缶は大丈夫とのことです。
なお、本記事では触れられていませんが、ネスレ・ピュリナ・ペットケア社の犬用缶フード「アルポ プライム カット イン グレイビー」も同一の経緯で混入があり、リコールとなっています。逆にこちらはドライフードの方は大丈夫とのことです。
日本ネスレ・ピュリナ・ペットケア社
「米国ネスレ ピュリナ ペットケア社のペットフードの自主回収について」
http://www.purina.co.jp/news/recall_2.asp
FDAの記事です。
http://www.fda.gov/oc/po/firmrecalls/purina203_07.html
元サイト:ASPCA NEWS ALERT「April 6, 2007」
ネット通販=並行輸入で購入していらっしゃる場合、国内代理店が出す情報をご存知ない方がいたら大変、という老婆心から掲載しました。
【追記】
グルテンと言えば、こういう過去記事が有ります。
《糖尿病リスクのある乳児にシリアルやグルテン含有食は要注意》
米・コロラド大学保健科学センター(デンバー)のJill M. Norris博士らの研究によると、1型糖尿病の発症リスクが高い乳児が,生後3か月間あるいは7か月以降にシリアルを口にすると、膵島細胞に対する抗体が増加するという。詳細はJAMA(290: 1713-1720)に発表された。
<リスクが4〜5倍に>
この疑念は,これまでいくつかの研究で示唆されてきたが、家族歴もしくは遺伝型により糖尿病発症リスクが高い同時出生小児集団で検討したのは同研究が初めてである。
Norris博士らは1,183例の小児を抽出し、平均4年間のフォローアップで 76%からシリアルの摂取状況と抗体価検査値を得た。生後3か月間にシリアルを与えられた乳児は,対膵島細胞抗体を有するリスクが4.32倍、生後7か月以降に与えられた場合には5.36倍であった。
現行の米国のガイドラインでは,シリアルを与え始める年齢を生後4〜6か月の間と推奨しており,シリアルに関する限り,今回の結果は現行の乳児栄養補給ガイドラインを変更する必要はないことを示している。
しかし用心しなければならない食品はシリアルだけではない。乳児の食習慣がその後の1型糖尿病発症になんらかの役割を果たすかどうかを検討したドイツの関連研究(JAMA 290: 1721-1728)がある。
ミュンヘン糖尿病研究所のAnette-G. Ziegler教授らは、1型糖尿病の親を持つ1,610例の乳児を対象に出生時・生後9か月め・さらに2.5歳、8歳の時点で血清試料を採取してフォローアップを行った。
その結果、グルテンを含有する食品を早期に与えることは、1型糖尿病関連抗体獲得の危険因子となることがわかった。生後3か月間のグルテン含有食の摂取は、それより遅い時期から食べ始めた乳児のリスクと比較して、5倍に押し上げた。
同教授らは、小麦・大麦・オートムギを含む食品はいかなるものでも、糖尿病発症リスクが高い乳児に与えるべきではないと結論している。母乳で育った乳児でも、グルテンの有害作用は防止されなかった[MT誌03年12月4日 (VOL.36 NO.49) p.30]。
そもそも猫は肉食動物であり、犬のような雑食動物でも無く、自ら小麦を摂取することは有り得ません。上のm/dドライは小麦グルテンを含むが故に、汚染物質を呼び込んだ格好です。
しかし小麦グルテンの摂取はm/dが糖尿病用の療法食であってみれば、たとえ猫の食餌だとはいえ、上の記事からすれば何の問題も無いのでしょうか。一般に糖尿病は成人病と考えられるから=成猫への投与だから大丈夫、という話になるのでしょうか?
ヒトでは I型糖尿病でグルテンに対する自己免疫性下痢が10%程度出ると聞いたことがありますが、これも糖尿病と歯周病の因果関係が逆という説得的な説があるように、逆だという可能性は無いのでしょうか。
【080104追記】
遅ればせながら追記します。
再度の混入リスクを恐れたのか、糖尿病食としての上記の記事にある問題性の故かは分かりかねますが、とにかく、m/d現行全製品から、小麦グルテンの使用は無くなりました。
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