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ビタミンDに糖尿病予防効果----出生後すぐに十分な投与を [ビタミンD]

 英ロンドンの小児保健研究所の小児疫学・生物統計学部門のElina Hypponen氏らによると,小児期にビタミンDを十分に摂取していれば、I型糖尿病発症リスクが明らかに低下する。「少なくとも,太陽の光を十分に享受できないフィンランド人には、このことが当てはまる」というコホート研究がLancet(358:1500-1503)で報告されている。

[生後1年間の補充療法で低下]
 ビタミンDサプリの摂取と糖尿病発症リスク低下との関連性については、動物実験で既に明らかにされているが,Hypponen氏らは、1966年にフィンランド北部で生まれた1万人以上を対象としたコホート研究から、ヒトでも同様の関連が認められることを証明した。この地域では、太陽光による皮膚のビタミンD代謝刺激は、少なくとも冬期はほとんど見込めないため、ビタミンDサプリの摂取効果を検証するのに最も適していると考えられた。

 1997年まで追跡調査が行われたが、それまでにI型糖尿病を発症したのは81例で、発症年齢は平均14歳であった。
 同氏によると, 生後1年間,定期的にビタミンDを摂取していた群では,同年齢の非摂取群と比べ,糖尿病発症リスクが80%も低かったという。また1歳までにくる病の疑いがあったケースでは,発症リスクは3倍も高かった。
 同氏は、こうした予防効果が得られる理由としてビタミンDの免疫抑制作用を挙げ、同ビタミンが膵臓のβ細胞に対する自己免疫反応を阻害するのではないかと考えている。


【コメント】
 高緯度地方で、日光に乏しい北欧の国々で、ビタミンD不足が起こりえるため、Dのサプリメンテーションが常識になっている訳ですが、これは、我々のような中緯度の住人であっても、都市生活のために、マンションからすぐ地下鉄に乗り、オフィスに出勤し、日没後帰宅して、多忙故に長期休暇に海や山にも行けぬまま一年が経つ、おまけに女性であり、UV保護クリームを多用し、長袖・黒日傘で外出といった生活をしているならば、食餌やサプリ由来の摂取が十分でなければD不足に陥る可能性はあります。

 また、室内飼いの猫ならば、マンションの窓が北向きなら日光浴もできず、ドライフード内のDの添加量が数字上は基準内でも、本当に含有しているのかどうかといった問題(全てが良質なフードではない)に加え、その数字もあくまで原材料から想定された理論値であって、加熱・加工など作製時後、さらに保存時の損失分や、猫個々の遺伝子的差異からの必要量の差なども考慮すれば、流石にくる病にはならなくても、オプティマル・ヘルス実現に必要な量からは不足が生じる可能性があります。室内飼いの猫には統計的有意差をもって糖尿病の発症が多いという事実に関わる一つの原因ではないでしょうか。

 とはいうものの、動物では過剰症が問題になり得るビタミンDですから、また、予防と治療は直接結びつくとは限りませんので、愛猫家の皆様も安易なサプリメンテーションは避けて下さい。一般的に、ネコへのサプリ投与に関しては、獣医臨床栄養学に詳しい獣医師に相談の上、行うようになさって下さい。


 なお、ビタミンDに関しては、以下の専門書・一般書を参考にしてください。

岡野登志夫『ビタミンDと疾患ー基礎と臨床からの考察』 医薬ジャーナル社(2000)


中村・松本・加藤『骨代謝と活性型ビタミンD』ライフ・サイエンス出版(2006)


平柳 要『がん予防に実は「日光浴」が有効なわけービタミンDの驚きの効力』講談社+α新書(2008)


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