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愛猫タマの糖尿病併発性貧血その後(090222現在の近況を付加更新)。 [獣医学]

 070607付『II型糖尿病患者の多くでHb値が低下』という記事(http://blog.so-net.ne.jp/orthomolecular/2007-06-07)のコメントとして、うちのタマの貧血について記しました。

 その後、約一ヶ月が経ちました。近況をご報告します。

 ランタスの量は、0.4IU BIDを前後に調整中です。尿糖が高いのと体重が増えてきたので、微調整をすべく、本ブログに訳出した文献と血糖値曲線を元に思案中です。

 かつて膵炎の疑いもあり、またドライフードを1粒でも食べると吐出することから食道閉塞が疑われていたことから、ヒルズi/d缶(m/dではなく)の湯溶き=半流動食状態を給餌して来ました。

 i.d.50ml SID→内容はリンゲルに
  ビタメジン5ml[B1_25mg・B6_25mg・B12_0.25mg→B1はリン酸チアミン]
  エフエーミック1ml[B2。FADとして10mg]
  ビーシー注2ml[V.C_500mg]。

 i/d缶には、ビタミンC(アスコルビン酸Ca・Mg・K。フラボノイド入)+バイオフラボノイド、ビタミンE、ビタミンA、ナイアシンアミド、ルテイン、Zn、Cr(クロミウムナイアシネート)、V(硫酸バナジル)、まれにSe(グリシン=アミノ酸キレート)を適宜混合しました。またクエン酸Kも1.7mEq SID相当添加しました。湯溶きの湯はMgを過剰にならない程度に補給するためEvianを使用しました。

 また、点滴でのC投与がネコにとってはメガビタミン療法的大量投与になるため、それで葉酸とB12も失われるという説もあり[B12は点滴に含まれるものの、それだけでは糖尿病での多尿環境では収支がマイナスになり得るので]i/dに加えました。
 
 フェリチン値はモニターできていませんが、一応、鉄欠乏にも配慮して、ファイザー「ペット・チニック」(アミノ酸キレート鉄)も適宜投与しました。

《考え方》
 0a. 糖の処理にはB1が必要。しかし糖尿病の病態下ではリン酸化の効率が下がる。従ってリン酸塩=ビタメジンを使用する。

 0b. B1の保持にはMgが必要。Mg不足だとレセプターが変成しB1のバイオアベイラビリティが低下し、神経障害の原因となる。これは和歌山県古座川流域やグアムでの「アミトロ」の研究から判明している。しかし猫はストルバイトを恐れるあまり、短絡的に食餌を低Mgにしている。従ってMgは過剰にならぬ程度に強化する。

 1.糖化酸化LDLや一般的なグリケーションを低下させるために、C+Eの抗酸化ビタミンの投与や過剰にならぬようSeの投与もする。
 LDL酸化への対策としては、適宜、ドナリエラ由来の天然βカロテン(cis型中心)も与える。またフラボノイドは糖耐性を向上させることが、人間の糖尿病患者へのオレンジジュースとブドウ糖果糖の比較給餌試験から分かっているので、経口投与に加える。
 ビタミンEが酸化ストレス状態が続いて不足すると、赤血球は膜障害から破壊速度が速まるので添加する(200IU/day)。さらにルテイン(マリーゴールド由来)は赤血球膜に選択的に取り入れられ膜障害を防いでいるので添加する。まず、今ある赤血球を守る。

 2.次に材料として鉄のアミノ酸キレートサプリ補給。貯蔵鉄からHb合成ができるように、ビタミンA(猫は要求量が多いので不足しやすい)補給。ヘム合成経路に関与するB6やCは投与する。葉酸・B12は点滴以外に食餌にも添加し、多尿環境で欠乏が無いように収支をプラスにする。また、ALPのチェックはしていないが、亜鉛欠乏性の貧血も有り得るため、インスリンの効果の問題も有り、Znも添加する(酵母由来)。

 3.β細胞の復活のために、Cr・V・ナイアシンアミドを添加。ナイアシンは猫にとっては、合成不可能であり「ビタミン」であるが、市販のフードでは不足しがちである。

 4.元・東大口腔外科の西原克也先生の免疫理論に基づき、白血球の正常化のためにも、腸内細菌環境を整えるため、三共パンラクミン[有胞子性乳酸菌製剤]やビオフェルミン+オリゴ糖も添加する。

【070722現在の状態】
 RBC 716・HB 10.9・HCT 37.0と正常値になりました。WBC 17700。RBCが300台だった頃は不安でしたが、その後先月の500台から、ついに今日は700台にまで回復しました。

 フルクトサミン(FRA)327で、血糖のコントロールも、数日単位ではもちろん多少の変動も有りますが、中期的には一応良好と言えると思います。

 T-C 143、BUN 23、GOT 13と肝・腎機能も取りあえず問題有りません。

 Kも、かつては点滴やグルコン酸塩の経口投与にもかかわらず、2.1〜2.8などと、3.0を切っていた訳ですが、これも3.6と正常値になりました。

 これが、5月の頭に、主治医に「予後はよくないと思われます」とネオベッツERに申し送られた、うちの子の現在です。分子医学=分子矯正医学に基づく栄養療法、すなわち対因療法の効果だと思います。

 確かに対症療法をしていただけでは、貧血が進行して体重が減少し、合併症が多発して、今頃タマはこの世にいなかったかもしれません。

 おかげさまで、タマは現在、元気です。体重は最悪だった1.5kgから、約2.5kgまで戻りました。



【071117現在の状態】
 近況をお知らせします。2週に一度検査をしていますが、今日の検査ではWBC 16500、RBC 741、Hb 9.8、HCT 29.5、FRA 302、BUN 31、Cre 1.6、GOT 10↓、GPT 35で、全てが正常範囲でした。

 血糖値は、m/d缶を一日1個、ランタス0.5 BIDで、100台〜200台後半でコントロールできています。

 点滴は隔日にしていますし、ビタミンCは半量にしました。カリウムはほとんど添加していません。亜鉛を時折補っています。サプリ投与はビタミンEとB-3を除いては圧倒的に減らしています。




【071201現在の状態】
 近況をお知らせします。糖尿病性ケトアシドーシスで深夜救急病院に担ぎ込んでから1年がたちました。今日の検査ではWBC 15200、RBC 822、Hb 11.9、HCT 34.2、FRA 244、BUN 35、Cre 1.9、GOT 10↓、GPT 51で、全てがほぼ正常範囲でした。貧血は治りました。

 血糖値は、m/d缶を一日1個、ランタス0.5 BIDで、100台〜200台後半でコントロールできています。この日はKが2.9だったので、m/d缶にしばらくグルコン酸Kを添加します。



【080614現在の状態】
 近況をお知らせします。再発後、最悪だった時期から1年がたちました。この日の検査ではWBC 16000、RBC 700、Hb 10.8、HCT 31.4、PCV 30%、FRA 331、BUN 24、Cre 1.4、GOT 11、GPT 36、K 3.2、Glu 170、Tc 176で、血糖値を除いて、全てが正常範囲でした。貧血は完全に治りました。

 血糖値は、m/d缶に飽きてしまい、a/d缶を一日1個食べているためか、ランタス0.5 BIDでも、やや高目で100台〜200台前半まででコントロールできています。サプリメントはたまにB6 50mgなど、上述のもので思いついたものをを加えています。V.E 400IUは隔日で投与しています。点滴も血糖値高めの時に25cc SID(V.C 250mgおよびビタメジン1/8バイアル)を投与する程度です。現在の体重は2.8kgです!
 一日2回の血糖値測定&ランタスの注射以外はまったく他のネコと変わりません。弱っていた時は足の筋肉が落ち、歩くことすらままならなかったのに、時にキャットタワーにも登ったり走り回ったりしますし、現在では注射の時間には自分からやってきて「あ〜ん」と鳴いて、寝ている私の髪の毛や耳を噛んで起こしたり、箱を作って待つようになっています(まぁ、直後に餌を与えるせいもありましょうが)。賢く可愛い子です。

 これも近医の担当医師にネガティヴなことばかり言われた上に、食道閉塞・栄養不良・貧血進行・糖尿病悪化・歯石歯周炎症という悪循環のために予後不良と言われ、さらに食道閉塞に関しては近医とネオベッツとの間に意見の衝突もあって治療方針が見えず、心の底から落ち込んでいた時に、サード・オピニオンを求めた岸上獣医科医院の古田副院長が諦めないように暖かく励ましてくださり、対症療法のレベルで病状に応じて何度も的確なご指示を下さったこと、産土神でもあり鎮守神でもあり、私が奉賛会役員を務める住吉大社の大神様のご加護(タマのために神官の方は祝詞を上げ、巫女さんにはお神楽を奉納して頂きました)、そして私が分子矯正医学的対因療法を行い得たことのおかげだと思っています。


【080811現在の状態】
 うちのマンションに住む半野良猫ちょびが交通事故と思われる被害に遭い、8/6の23:00頃に発見した私と飼い主の個人タクシーの運転手さんとでネオベッツERに搬送しようとしていたら、車中で、私の手の中でなくなってしまったショックから、予約をしていたうちのタマはどうしようかとも思いましたが、8/9(土)に、岸上獣医科医院で全身麻酔の上、歯石除去ならびに奥歯の抜歯を行いました。結局、上下両奥歯・計8本を抜きました。一本は下の骨も処置したそうです。
 この際の一般検査データは、RBC 612, WBC 13100, Hb10.6, HCT 32.7, TP 8.9, BUN 30, Cre 1.2, GOT 23, GPT 52, K 3.9, FRA 304でした。 なお、体重は2.9kgでした。

 糖尿病と歯周炎の関連は本ブログでも紹介してきたように自明で、早い処置が望まれたのですが、昨年では麻酔をかけるには、体重=体力が戻りきっていないことがあり、かといって、硬い餌で歯石コントロール的なものは吐出してしまう(食道閉塞疑い)ので如何ともし難く、また近医がまだ大丈夫/まだやりたくない的な消極姿勢だったこともあり、私の夏休みまでずれ込むほど遅くなりました。

 近医の煮え切らない態度とは裏腹に、診断結果は、歯根が溶けて吸収されているような状態でありながら、周囲を歯石で固定されていたような状態でした。さぞ痛かったでしょう。持続的な炎症はインスリン抵抗性に影響していたでしょう。

 術後二日ほどは麻酔が切れてきて痛がるかもと言われていましたが、食欲も旺盛。ごろにゃんごろごろ状態で、きっと慢性的な炎症がなくなってすっとしたのだと思います。まだ経過観察中ですが、一応よかったよかったです。

 せっかく全身麻酔をかけることなので、この際、内視鏡で食道閉塞の有無も確認していただきました。 下がその画像です。有無に関してはネオベッツVRセンターと近医で揉めましたが、やっぱり閉塞しています。薄いリング状の膜が発達し、直径5mmほどになっています。これでは流動食やペースト状/そぼろ状の食餌は通っても、普通のカリカリフードを食べれば詰まって吐くはずです。

 猫の食道の狭搾の好発部位は心臓と接近していて拍動時に同期して揺れているような部分の近辺ですが、タマの場合はそのはるか手前が、このようにリング状になっているのです。

 この膜をバルーンで広げたり、切除は出来ないかとも思いますが、その際抗炎症剤としてステロイドを使わざるを得なくなります。猫はステロイドに強いので、普通なら長期常用できるのですが、今、タマはインスリンを打っているのでステロイドを使うと血糖コントロールができなくなるので、その選択肢はありません。現在、0.5IU BIDなので、奥歯の処置も済んだことだし、万一、インスリンから離脱できれば考えます(過去掲載の拙訳「グラルギンの使い方」参照)。

【090222現在の状態】
 近況をお知らせします。RBC810・Hb13.2・HCT38.0・PCV36%・Tc161・GPT29・GOT25、FRA278です。貧血の気配はなく、電解質も正常で腎機能にも問題なく、高血糖によるグリケーションも今のところ問題はないようです。Gluは食餌の摂取量や質(m/dに飽きてきているので他の餌を食べると高めに出ます)によるのですが、ここ1週間×1日2回=14回の平均が170程度です。ランタスは0.5〜0.6 IU BIDです。

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