フラボノールの摂取で特に喫煙者の膵癌リスクが低下 [フラボノイド]
たまねぎやブロッコリーなどに多く含まれるフラボノールの摂取が、特に喫煙者における膵癌の予防に有効であることを示すデータが、米ハワイ大学などのグループによりAmerican Journal of Epidemiology(166: 924-931)の10月15日号に発表された。
対象は、ハワイとカリフォルニアで行われたMultiethnic Cohort Studyの参加者18万3,518人。1993~96年の登録時に定量的食物摂取頻度調査票を用いて3種類のフラボノール(ケルセチン・ケンフェロール・ミリセチン)の摂取量を推定し、膵癌発症との関連を検討した。
8年間の追跡で529例に膵癌の発症が認められた。解析の結果、3種類のフラボノールの全摂取量が多いことが膵癌発症リスクの低下と関連し、最低四分位と比較した最高四分位の相対リスク(RR)は0.77と有意に低かった(P=0.046)。3種類のなかでは、ケンフェロールの摂取がリスク低下と最も強く関係していた(P=0.017)。
フラボノール全体およびケルセチン、ケンフェロール、ミリセチンはいずれも喫煙者の膵癌発症リスクと負の相関が認められ、最低四分位と比較した最高四分位のRRは0.27~0.55だった。一方、非喫煙者や過去の喫煙者ではこうした相関は認められなかった。
同グループは「この所見は特に喫煙者における膵癌予防のエビデンスとなる」としている。[07年11月8日 (VOL.40 NO.45) p.72]
吉川敏一『フラボノイドの医学』(講談社サイエンティフィク)
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