SSブログ
ビタミンE ブログトップ

ビタミンEはII型糖尿病で抗炎症薬として作用 [ビタミンE]

 テキサス大学サウスウエスタン医療センターヒト栄養センター病理学・内科学のIshwarlal Jialal教授と、病理学部臨床生化学・ヒト代謝部門のSridevi Devaraj助教授は、Circulation(102:191-196)に、「ビタミンEの大量投与は、II型糖尿病患者における心疾患および脳卒中のリスク軽減に役立つ可能性がある」との研究結果を報告した。

<血管合併症に有効か>
 Jialal教授らは、糖尿病患者に1日当たり1200IUの天然型ビタミンE(d-α-トコフェロール)を3か月間にわたって投与したところ、白血球(単球)によって引き起こされる炎症の増大が軽減したと発表した。
 
 同教授は「これは、糖尿病患者でビタミンEが抗炎症作用を有することを示した最初の研究である。糖尿病性血管障害では、炎症が重大な原因であると思われることから、ビタミンEは糖尿病患者での血管合併症を予防するための追加療法となる可能性がある」と述べた。

→続きを読む


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:健康

γ型ビタミンEに細胞破壊作用ーパーキンソン病などに関係する細胞応答を誘発 [ビタミンE]

 ビタミンEは益にも害にもなりうることが,オハイオ州立大学・分子細胞生化学のJiyan Ma助教授らの研究で示唆された。in vivoでγ型ビタミンEは細胞を破壊するが,α型は破壊しないとProceedings of the National Academy of Sciences(2006; 103: 3604-3609)に発表した。



<代謝最終生成物が相互作用>
 過去数十年にわたり,多くの研究で食事中のビタミンEは有益な作用をもたらすことが認められてきたが,一方で有害な作用を示す研究結果もある。一部の研究では,確かにビタミンEが癌・心血管疾患・その他の疾患リスクを上昇させたように見える,とMa助教授は指摘。「γ-トコフェロールの細胞破壊作用に関する今回の研究結果により,過去の研究で相反するエビデンスについて説明可能かもしれない。γ-トコフェロールとα-トコフェロールは化学構造上のわずかな差違から区別される」と述べた。

 同助教授らは,特に体内でのビタミンE代謝の最終生成物であるキノンに注目した。体内でビタミンEがキノンに分解される際,キノンが細胞内に入って相互作用を示す。しかし,γ-トコフェロールのほとんどはキノンに分解される前に生体から排泄される。

 次に同助教授らは,マウス脳細胞をγ-トコフェロールまたはα-トコフェロールから生成したキノンで処置した。2種類のキノンの細胞内における作用を評価する試験法により,γ-トコフェロール由来のキノンから形成された化合物が細胞破壊を引き起こすことが明らかになった

 蛋白質の折り畳みと呼ばれる個々の細胞内で生じるプロセスを、γ-トコフェロール由来のキノンが阻害することにより,細胞破壊が生じる。この作用がパーキンソン病,糖尿病などの多くの疾患に関係する細胞応答を誘発するα-トコフェロール由来のキノンは,正常な蛋白質の折り畳みを阻害しなかった

 この結果は他の培養細胞でも再現された。マウス皮膚とサル腎臓の細胞にもこの処置を行ったが,α-トコフェロール由来のキノンは細胞死を誘発せず,蛋白質の折り畳みも阻害しなかった。一方,γ-トコフェロールは体内のほとんどすべての細胞に破壊作用をもたらすと考えられる。
 α-トコフェロールが含まれている食品にはアーモンド,ひまわりの種子,オリーブオイル,からし菜などがあり,γ-トコフェロールはトウモロコシや大豆に含まれている。

<栄養補助食品に懸念示す>
 共同研究者で同大学分子細胞生化学のDavid Cornwell名誉教授は「米国ではコーン油や大豆油を豊富に含んだ食品を取りがちなため,α-トコフェロールよりもはるかに多くのγ-トコフェロールを摂取している」と述べている。

 また,「γ-トコフェロールとα-トコフェロールの区別は市場でも重要である。抗酸化物質の宝庫であるとしてγ-トコフェロール入りの栄養補助食品の販売を促進しているメーカーや販売業者もある」と同教授は指摘。「濃縮γ-トコフェロールを摂取すると,体内のγ-トコフェロール濃度が上昇する可能性があるため,このような現状が懸念される」と述べている。

→続きを読む


nice!(0)  コメント(0) 
共通テーマ:健康

妊娠中のビタミンE摂取量〜少ないと子供に喘息 [ビタミンE]

 英・アバディーン大学のGraham Devereux博士らは,募集した妊婦から生まれた子供1,861例の縦断的コホート研究を行い,妊娠中のビタミンE摂取量が少ない母親から生まれた子供は5歳までに喘鳴と喘息を発症しやすいとする結果をAmerican Journal of Respiratory and Critical Care Medicine(2006; 174: 499-507)に発表した。

【早発型持続性喘息で5倍の差】
 Devereux博士らは「妊婦のビタミンEと亜鉛を含む食品の摂取量は,出生児の喘鳴と喘息の発症リスクに関連する」と結論している。

 妊娠中のビタミンE低摂取が,生後5年間の持続性喘鳴と持続性喘息に関連することが判明した。持続性喘鳴の発症しやすさは,ビタミンE摂取量が最も少ない五分位に属する母親から生まれた子供は最も多い五分位に属する母親から生まれた子供に比べて3.47倍,早発型持続性喘息の発症しやすさは5倍であった。

 さらに,同博士らは「ある典型的な小児のサブグループでは,妊娠中のビタミンE摂取が少なく,出産時に母体の血漿中α-トコフェロールが少ないことが,5歳時の呼気中一酸化窒素(NO)の増加に関連していた」と述べている。

 これまでの多くの疫学研究では,抗酸化作用のあるビタミンC,E,β-カロチンなどの栄養素の摂取と血中量が少ないことが、喘息と関連していることを示しており,セレン,亜鉛,銅,鉄,マンガン,マグネシウムなどの微量元素も喘息と関連していることを示している。このため,今回の研究は疫学研
究ではなく胎児段階の状態を調べるために妊婦を募集した。

 同博士らは同じコホートに関して,妊娠中のビタミンE摂取が比較的少ない母親から生まれた2歳児は,かぜの症状はないのに喘鳴を発症しやすいと同誌(2005; 171: 121-128)に発表している。

【呼気中NO量にも関連】
 今回の研究では,小児1,253例の症状データと,妊婦1,120例の食物摂取頻度質問票によるデータが得られた。小児700例が皮膚プリックテストを受け,478例で1秒量(FEV1.0)を測定し,167例で呼気中NO濃度を測定した。

 妊娠中の母体のビタミンE摂取量は,5歳児の前年の喘鳴〔オッズ比(OR)0.82〕,喘息の発症(OR 0.84),前年の喘息と喘鳴(OR 0.79),持続性喘鳴(OR 0.77)それぞれと負の関連があった。

 さらに妊娠中の母体のビタミンE摂取量は,2歳未満で発症し5歳で継続している喘息と定義された早発型持続性喘息と負の関連があった。Devereux博士らは「ビタミンE摂取が最も少ない五分位に属する母親から生まれた子供は,最も多い五分位に属する母親から生まれた子供の5.14倍,早発型持続性喘息を発症しやすかった」と述べている。呼気中NOは,母体のビタミンE摂取量と負の関連があった。

 ある母親のサブグループのみに当てはまるもう1つの興味深い発見として同博士らは「(妊娠12週目ではなく)出産時の母体の血漿中α-トコフェロールは,アトピーの母親から生まれた子供についてのみ,呼気中NOと負の関連があった」と指摘している。

 妊娠中の母体の血漿中α-トコフェロールは5歳児の気管支拡張薬投与後のFEV1.0に正の関連があった。妊娠中の母体の血漿中α-トコフェロールは1mcg/mL当たり5歳児の7mLのFEV1.0増加と正の関連があった。

【亜鉛は湿疹にも関連】
 妊娠中の母体の亜鉛摂取量は小児の喘息発症(OR 0.83),活動性の喘息(OR 0.72)と負の関連があった。さらに妊娠中の母体の亜鉛摂取量は,5歳児の前年の息切れ,かぜ症状を伴わない息切れ,前年の喘鳴を伴う喘息,湿疹の発症,医師が確認した湿疹,現在湿疹治療中であることと負の関連があった。

 母体の亜鉛摂取量は2歳以降の発症と定義した遅発性喘息と負の関連が認められたことから,Devereux博士らは「亜鉛摂取量が最も少ない五分位に属する母親から生まれた子供は,最も多い五分位に属する母親から生まれた子供の1.91倍,遅発型喘息になりやすいことがわかった」と述べている。

 妊娠中の母体の亜鉛摂取量は,生後2年間には見られないが5歳で存在する湿疹と定義された遅発型湿疹とも負の関連があり,摂取量五分位ごとの調整ORは0.84であった。

 重要な点として,小児の栄養摂取と呼吸アウトカムの間には何の関連もなかった。同博士は「本研究は5歳での小児自身の栄養摂取は,母体の栄養摂取とその小児の呼吸アウトカムとの関連性を変化させないことを示している」と付け加えている。

【ビタミンEは肺と気道に影響】
 Devereux博士らは「気道は受胎後16週までに完全に発達するため,妊娠初期のビタミンE曝露はその後の妊娠段階での曝露より気道機能に影響を与えやすいのかもしれない」として,妊娠中の母体の栄養摂取が胎児の気道発達に影響しうることを示す動物実験を挙げている。

 同博士は「われわれの発見は,ビタミンEは肺機能と気道炎症に二重の影響を及ぼすこと,またその影響は出生前と生後の各段階で変化する可能性があることを示している。肺機能は,アトピーとは無関係に妊娠初期のビタミンE曝露に関連していたが,アレルギー性の気道炎症はその後の妊娠段階でのビタミンE曝露に関連していた」と述べている。

 英国では主要なビタミンE源はヒマワリ油,グレープシード油,コーン油,マーガリン,小麦胚芽,ナッツ,ヒマワリの種で,主要な亜鉛源はレバー,小麦胚芽,赤身の肉,種子,ナッツである。

 妊娠中のビタミンC,β-カロチン,マグネシウム,銅,鉄の摂取に関しては,いずれも5歳児における喘鳴症状,喘息,湿疹,花粉症,アトピー性感作との間に一定の関係はなかった。多変量解析では,これらの疾病のいずれも妊娠中のマンガン摂取と負の関連は認められなかったが,単変量解析ではマンガンに関して負の関連が示唆された。
 これまでの複数の研究で,ビタミンC,E,セレン,マグネシウムを補充しても喘息アウトカムを一定して改善することはないことが示されている。[MT誌。06年11月16日 (VOL.39 NO.46) p.43]


nice!(0)  コメント(1)  トラックバック(0) 
共通テーマ:健康
ビタミンE ブログトップ

           医療用医薬品が買える! 三牧ファミリー薬局

この広告は前回の更新から一定期間経過したブログに表示されています。更新すると自動で解除されます。