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OTC剤:ガスターは譫妄を起こす、ATP剤は効かない(笑) [基礎医学]

 スイッチOTCは、個人主義的選択肢を増やす規制緩和だと思っていたら、無知なリバータリアンは権力の餌食になりますよ(笑)。

 例えば、H2ブロッカーたるガスターは副作用も有る薬だし、素人がいい加減に「胃薬」として飲むのは危険だ。実際、病院では老人患者などに譫妄も起こす薬である。薬剤師は、だからパンシロンとは異なる種類の薬であるが故に服用量・服用法に注意喚起する建て前になっているが、ドラッグストアでの売られ方を見ると、単なる「よく効く胃薬」のノリで売られている。

 そもそもこの薬がスイッチOTCになったのは、ピロリ菌への抗生物質治療(=胃潰瘍の根治療法だ)の保険適用が決まったのとほぼ同時である。厚生省のそういう業界保護的な体質は、かつてはキノホルム、最近でも薬害エイズの血液製剤まで全く変わっていない。

 それから、日本だけに存在する最もトンデモナイ薬にATP剤がある。高校生物などで学ぶ、あのATPである。
 確かに、高校生物では、リン酸結合の結合・開裂を通してATP⇔ADPの変換が起こり、その際にエネルギーを取りだせるという「エネルギー物質」という説明がされている。

 だから、それを口から薬剤としてとれば、体によく、エネルギーが出て、元気溌剌となるだろうというのである。一見、前提からすれば科学的だが、実は論理に飛躍があり、思い込みにもたれている。こうした思考パターンを(「科学的」ならぬ)「科学主義」的発想という。
 ウィルス性疾患は熱が上がる→熱を下げれば(下がれば、ではない)治るという誤解なども、高校レベルの免疫学を無視した原始人的思い込みであり、幼稚な「科学主義」の典型例であり、日本(と台湾)独自の解熱剤脳症(インフルエンザのせいだと思い込んでいるのは、ライ症候群もろくに知らない日本の不勉強な医師だけ)を生んだ。
 すなわち「科学主義」とは、科学のイデオロギー化・宗教化の異名であることは、医療社会学の基本認識なのである。

 さて、この一日当たりの人体における合成量はいかほどかといえば、ほぼ体重相当分である。人間が様々な活動をするために、ATP⇔ADPの変換の総体で、延べの合成量がそれくらいになるのは、初歩の健康科学の計算問題の常識である。すなわち60kgの人間なら、一日あたり約60kg程になる訳だ。
 できたりもどったりではあるが、延べでは、そのくらい多量につくられている。一日の行動に要するカロリーからすれば、そうなってしまうのだ。

 ところが「パ○オンコーワ」の1日量は60mgである。60kg=60.000g=60.000.000mgに60mg=100万分の1加えたところで「露天風呂に耳かき一杯」程度のものである。
 固定的にATPが60kgプールされている訳ではないにしろ、一日の総量がそれくらいのオーダーのものに、外から加わるATPがたったそれだけということは、やはり馬鹿馬鹿しいにも程があるのだ。

 その昔、元・モントリオール大医学部ストレス研にいらして、現在、医療ジャーナリストであり、あの「ブラックジャックによろしく」の原作者である永井 明先生が、その旨をMRに糾した所、「先生、まぁ、そう硬いことを言わないでください。この薬が抱き合わせ処方で出されれば、その分で病院も潤う訳ですから」という答が返ってきたという。

 最近は、流石にそれに気付く者も出てきたのか、新たな屁理屈として、血管内等にある ATP受容体(P2受容体) に結合する事で循環機能や代謝機能の改善を改善するのだという説明がなされている。
 これも噴飯物だ。全身の血管の総距離数はいったい何キロあると思っているのか、毛細血管込みで約10万km=地球を2周半する長さなのだ。
 たった60mgでどれだけの血管のレセプターに結合し得るというのだ。また、全身のどの部分の血管の循環をどうやって選択的に改善できるというのか。選択的でないのなら、相手は10万キロだぞ!(爆)
 こんな濃度で薬が効くのなら、ホメオパシー薬だって十分効くことになって、非科学だと批判できなくなってしまうではないか!

 従って、そういう用途(=病院経営のため)に使われる薬だから、医療財政の厳しき折、財務省の睨みも利いている昨今、厚労省もいつまでもそんな保健点数を大ぴらに認める訳に行かなくなる。
 さすれば、OTCにして一般人に買わせれば、プラセボとして十分効くと言いだす連中も居るからええやんかという訳だ。意味のない薬を廃止するのではなく、一般向け販売に切り替える訳だから、国民のためではなく、ここでは業界保護しか眼中にない。また、それが天下り先確保につながるという点では官僚の自己利益もあろう。

 ちなみにこの商品はB群ビタミンが入っているから、プラセボ以上の、それなりの疲労回復効果は出てくる訳で、そこで意図的に錯覚をさそうというレシピになっている(笑)。
 「パイロゲン」というπウォーター商品(=イカサマ健康食品)があるが、これなんかも生産物責任法を恐れてか、やはりビタミンを配合して、同じような誤魔化しをしているのだが、正統医療の側がこの体たらくでは五十歩百歩である。

「脳循環代謝改善薬」という怪しいカテゴリーがある。ここは、今までに効果があるからこそ認可されたはずのものが効果無しとして取り消しになり消えていくものが存在するという怪しいフィールドである。「脳血流が改善されれば脳機能は改善されるはず」というシンプルな理論を楯に、屁理屈次第では怪しいものがまかり通ってしまうのである。

 そこでは、このATP製剤は「アデホス」という名で使われている(まさか飲んで効くと思っている者はアホデスというアナグラムではないでしょうな。爆)。
http://www.kowa-souyaku.co.jp/medical/product/interview/pi_005.pdf
これが注、
http://www.kowa-souyaku.co.jp/medical/product/interview/pi_008.pdf
これがエンテリック・コーティング剤のインタビュー・フォームである。
 
 ともに海外では発売されていない=できないような怪しい薬であることが分かる。文献表を見よ。ATPの発見に関わるような大昔(1929・1931年)の2文献を除けば、全てが日本人の日本人による日本人のための医学雑誌にしか論拠が無い。プラセボ対照DBT等、まともな大規模臨床試験すらされていない。たった168例対象の小規模試験だけで認可されているのだ。ATPに毒性などあるわけがないのだから、それだけで認可していいのか。

 ATPが生命の基本物質であるということと、経口ないし静注で薬物として体外から摂取して、薬効を持ち得るかということは別の話である。この手の一足飛びの「科学主義」的説明に、かつて国試に汲々としたような医師(根本的に生化学などを学ばなかったような、かつての受験秀才の成れの果て)は簡単に騙される。ましてや素人は騙されてしまう。理科離れの昨今なら尚更である。

 国際医学雑誌に基づく論文=世界的に通用する根拠はゼロである。それも上の理由からすれば当然である。ところが、こんな薬が世界中で日本だけに認可されているのだ。
 
 何が笑えるといって「(1)治療上有効な血中濃度:該当資料なし」「2.薬物速度論的パラメータ:(2)バイオアベイラビリティ:該当資料なし」と平然と書いてあり、脳循環改善薬を謳っているのに「(1)血液-脳関門通過性:該当資料なし」と書かれているのだ。初めて見た時、私は暴れたくなった(爆)。

 EBM(Evidence-Based Medicine:根拠に基づく医療)が叫ばれて久しいが、この種の、ローカルな医薬品はまだまだ日本には存在する。こういうムダを廃すること、無根拠な医療行為(抗生物質の術後ダラダラ点滴など)を無くすことで医療費は大きく節約できる。その分を医療報酬や看護報酬に回したり、救急医療や産科医療をも含む日本の医療の改善に役立てるべきなのだ。
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フェリチンのみが鉄代謝阻害のパラメータに [基礎医学]

 独・ウルム大学病院内科のHermann Heimpel教授は「血清鉄の低下は鉄欠乏または全身性炎症の結果であると考えられるが、鉄貯蔵量が正常ないしは高い場合であっても血清鉄が低下していることがあるため、注意が必要である」とMedizinische Klinik(98: 104-107)に発表した。

<時間帯により検査値は変動>
 ドイツ国内では毎年延べ1000万〜3000万件の血清鉄検査が実施されている。しかし、Heimpel教授は「血清鉄を検査しても鉄代謝が阻害されているかどうかを判定できないため、実施されている検査の大半は余計なもので、確実なパラメータとなりうるのはフェリチンのみである」と主張している。

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体内カルシウム:濃度調節の仕組み解明----京大教授ら [基礎医学]

 哺乳類の体内のCa濃度の維持調節を担う根本的な機能を、蛋白質「α-クロトー」が持つことを、京大の鍋島陽一教授(分子生物学)らの研究チームが明らかにした。Ca濃度は、ビタミンDやPTHといったホルモンによって調節されるメカニズムは分かっていたが、今回、ホルモンを使わない調節機構を明らかにし、更に個々の調節メカニズムを統一的に制御するシステムを解明した。鍋島教授は「ビタミンDやPTHの発見以来、60〜70年を経てCa調節の統一的原理が解明された」としている。今月15日、米科学誌 Science(316:1615 - 1618)で、”alpha-Klotho as a Regulator of Calcium Homeostasis”(Ca恒常性制御因子としてのα-クロトー)が発表された。

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