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膀胱がん発生率がブロッコリー・スプラウトのエキスで半減 [フィトケミカル]

 米・ロズウェルパークがん研究所のYuesheng Zhang教授(腫瘍学)らは、凍結乾燥したブロッコリーの新芽の濃縮エキスを投与したラットで、膀胱癌発生率が50%以上抑制されたと論文"Inhibition of Urinary Bladder Carcinogenesis by Broccoli Sprouts" Cancer Research(2008; 68: 1593-1600)に発表した。

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オリーブが発がんを抑制 [フィトケミカル]

<選択性が高く毒性低い>
 マスリン酸(maslinic acid)はオリーブの果肉から抽出されるが、オリーブの葉と樹液にも含まれる化合物で、がん予防に加えて発がん過程におけるアポトーシスを制御する作用がある。

 バルセロナ大・薬学部(生理学)のM. Emília Juanらは、論文"Antiproliferative and apoptosis-inducing effects of maslinic and oleanolic acids, two pentacyclic triterpenes from olives, on HT-29 colon cancer cells"(オリーブ由来の2つの五員環トリテルペン、マスリン酸とオレアノール酸の持つHT-29結腸がん細胞に対する抗増殖性およびアポトーシス誘導効果)をBritish Journal of Nutrition(2008;100:36-43)に発表している。


 この研究は、オリーブ果実エキス(マスリン酸:オレアノール酸=3:1)の効果を調べた、2006年の研究"Olive fruit extracts inhibit proliferation and induce apoptosis in HT-29 human colon cancer cells."[Journal of Nutrition(136:2553-7)]を受けて、これら成分単体が持つ増殖・ネクローシス・アポトーシスの諸効果をHT-29結腸がん細胞を使って蛍光法で調べたものである。 

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クルミとブルーベリーが脳に好影響----認知機能の低下や神経細胞の変性防ぐ [フィトケミカル]

 ジャンクフードばかり食べている人は注意が必要だ。このような食べものは消化管ばかりか脳にまで影響を及ぼすからである。野菜の摂取を奨励するエビデンスは増えている。その際にブルーベリーとクルミも食べたほうがよい。ある種の脳疾患に対して食事が与える影響を示す研究が、07年11月に開かれた米国神経科学会(SFN)の年次集会Neuroscience 2007で発表された。

<クルミが神経変性疾患を抑制>
 タフツ大学・米農務省Jean Mayer抗加齢ヒト栄養研究センターのJames Joseph博士らは、老齢ラットにクルミ抽出物を2%、6%、9%含む食餌を与えると、いくつかの脳老化のパラメータと加齢による運動・認知機能の低下を回復させることを明らかにした。
 同博士らは先行研究で、老齢ラットに抗酸化性の強いイチゴまたはブルーベリーの2%抽出物を加えた食餌を2か月間続けて与えたところ、加齢による神経細胞の機能低下と運動・認知機能の低下が逆戻りすることを発見した。抗酸化分子は、脳内で脳細胞や脳機能に障害を与えるフリーラジカルと戦う。今回の研究は先行研究の結果をさらに支持し、クルミにも同様の効果があることを明らかにした。

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動脈硬化予防に新有効成分=トマトに含有、コレステロール減少----熊本大 [フィトケミカル]

 トマトに含まれるステロイド化合物に動脈硬化を予防する新たな有効成分があることが16日、熊本大学大学院研究グループの研究で分かった。この研究成果は、米専門誌「ATVB」の12月号に掲載される予定。

 ステロイド化合物の働きを特定したのは、同大学院の藤原章雄助教授ら薬学研究部のグループ。03年にこの化合物をトマトから発見して分離に成功し、「エスクレオサイド」と命名した。

 グループはその後も研究を続け、血液に取り込まれたエスクレオサイドが、コレステロールをため込む働きをする酵素を阻害し、動脈硬化の原因となる免疫細胞「マクロファージ」の肥大化を防ぐ作用があることを突き止めた(時事通信社 - 10月17日 03:01)。

【コメント】
 藤原助教授の論文が掲載されたATVB誌(Atherosclerosis,Thrombosis,and Vascular Biology:動脈硬化・血栓・血管生物学)は、CirculationHypertensionStrokeほど一般の方には有名ではないかもしれないが、同じアメリカ心臓協会(AHA)のジャーナルである。

 今回の論文はオープン・アクセスで読むことができる。
 タイトルは"Esculeogenin A, a New Tomato Sapogenol, Ameliorates Hyperlipidemia and Atherosclerosis in ApoE-Deficient Mice by Inhibiting ACAT"

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トマトとブロッコリは前立腺癌の進行を遅らせる[拙訳] [フィトケミカル]

 ラットによる諸実験で、トマトとブロッコリーの各々を単独で食べたり、リコピンのサプリメントを服用するよりも、トマトとブロッコリーを一緒に食べる方が、前立腺癌の進行を遅らせる効果が高い、と、ある研究者がCancer Research誌[訳注:Cancer Research 67 (2): 836 - 843]で発表した

「前立腺癌を克服し予防したいと願う男性は<野菜の全体を食べること>にこだわるべきだということを本研究による知見は示している」と、この論文の筆頭著者Kirstie Canene-Adamsは語った。「癌罹患リスクを減少させるために、多様な果物と野菜を摂取することを市民に推奨している公衆衛生ガイドラインを我々も支持する」と彼女は付け加えた。

 本実験でのラットの摂取量を人間に換算すると、1日当たりプチトマト2.5カップか、普通のトマト2個か、1カップのトマトソースか、ブロッコリー1.5カップを毎日摂取したことになる、と彼女は言った。さらに疫学的諸研究が示すところでは、ブロッコリーとトマトを週当たり3回から5回と、より多く摂取する男性は、前立腺癌のリスクを30%も下げられると、彼女は付け加えた。

 本研究でCanene-Adamsとそのチームはオスのコペンハーゲン・ラット(n=206)に多様な食餌を与えた:トマトに含まれるフィトケミカルであるリコピン(食餌中23nmol/gか224nmol/g)、10%トマト粉末、10%ブロッコリー粉末、5%ブロッコリー粉末+5%トマト粉末、10%ブロッコリー粉末+10%トマト粉末、を加えた食餌である。ラットは前立腺癌組織を移植される1ヶ月前から始めてこれらの食餌で各投与群は22週間飼育された。

 他の移植癌ラットは通常食で飼育されたが、良性の前立腺肥大治療に用いられるフィナステリド (訳注:テストステロン5α還元酵素阻害薬。5mg/体重kg、経口投与・6 日/週)を投与されており、他の群は去勢(終了の2週前)されていた。

 癌の増殖は10%ブロッコリー粉末+10%トマト粉末添加食を給餌された去勢群で最も抑制されていた(52%減少。P<0.001)。
 顕微鏡的研究では、10%+10%混合粉末添加群で、癌細胞の破壊や増殖抑制の促進が観察された。しかし、リコピン単独添加食群には著しい癌抑制効果は見られなかった(7%・18%。統計的有意差無)。

「リコピン単独でも、ある程度は抗前立腺癌活性を有するが、トマト果肉が含む広範なフィトケミカル類は、それらから抽出された単一のカロテノイドを上回る抗癌効果があること(トマト単独は34%減。P<0.05)が明らかに示された」とCanene-Adamsと共著者らは記している。

 増殖の遅い前立腺癌を持つ多くの男性は「経過観察」扱いとなる。それは担当外科医が、癌の増殖が加速するまでは、薬物治療や放射線治療や手術の必要性を勘案しながらも、無治療で注意深く経過観察することである、と彼女は指摘した。

「食餌はおそらく副作用の無い非常に単純な物質であり、確実に手術や薬品より安価で、この経過観察期に前立腺癌の増殖を抑えられるだろう」とCanene-Adamsは締めくくった。

【コメント】
 元記事:"Tomatoes and broccoli slow prostate tumors in rats" Copyrights By Reuters Health:Anne Harding をCancer Research当該論文からデータを補足し、私=Catsdukeが訳しました。

 「一物全体食」的結果ですね。

 しかしトマトとブロッコリに含有されるカロテノイドの全スペクトルが必要でないことも、蓋然性からして明らかです。それが特定されるまでは、野菜そのものを食べるべきなのは明らかですが、健康に余裕があり予防のための健康食と漫然と構えていられる方にはそれでいいでしょうが、すでに前立腺癌を指摘されている人にすれば、より効果が強く、野菜で腹を膨らませる必要が無くなるにこしたことは無いと思いますがどうでしょうか。

 例えば、中国製のブロッコリーに高濃度の禁止農薬が噴霧されているようでは、増尾 清先生がご教示下さっているような「洗浄」や「茹でこぼし」なくして野菜の多食は危険です。発癌物質の大量体内取りこみにつながって、本末転倒です。

 こういう結論は、結局は、野菜をたくさん食べること=米農務省と、抗癌剤を併用する=医療資本の両方に資する結論のように見えるのは、穿ち過ぎでしょうか

 副作用のほとんどない、天然成分由来の抗前立腺癌薬としての、リコピンを中心としたマルチカロチン的なサプリメントが開発されれば、その方が患者には福音ではないでしょうか。

 例えば、乳癌に関してですが、ブロッコリー中の抗癌物質に関して、次のような過去記事があります。リコペン以外の抗癌成分を複数同定して、サプリメントなり天然系医薬品=創薬研究に結びつけるなりという私の考えもあながち悪くないのでは?(笑)
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「古代の顔料が乳癌に有効」

 伊・のStefania Galletti氏らの研究チームは,アブラナ科のホソバタイセイに抗癌化合物グルコブラシシンが豊富に含まれていることを確認し,Journal of the Science of Food and Agriculture(2006; 86: 1833-1838)に発表した。この化合物は乳癌に効力があり,従来、ブロッコリーがその代表的な野菜とされてきた。

<含有量はブロッコリーの20倍>
 ホソバタイセイは,古代のブリトン人とケルト人が出陣化粧用の青色顔料として用いていたもので,同チームは同じアブラナ科に属すブロッコリーに比べ,グルコブラシシン[glucobrassicin]の含有量が20倍も豊富であることを確認し,また各種の処置により65倍近くにまで高めることができた。

 この化合物には自衛機能があり,ホソバタイセイの葉が虫などによる被害を受けると放出され,葉を傷つけると濃度が30%上昇することが研究で確認された。この誘導体は特定の病虫害に対して有効で,特に乳癌に効力のある抗腫瘍の属性があると見られている。

 また,エストロゲン濃度が高い女性は乳癌リスクが高いが,グルコブラシシンにはこれを含む発癌性の化学物質を体外に排出する作用がある。

 これまでブロッコリーなどアブラナ科の野菜による健康への効果は報告されてきたが,大規模な試験を実施するのに十分な量の抽出は困難とされてきた。同チームは,廉価ながらグルコブラシシンが豊富なホソバタイセイを用いることにより,体内でこの成分が及ぼす作用について詳細な研究が可能になるものと期待している。(MT誌06年9月14日 VOL.39 NO.37 p.05)


Isatis tinctoria

 そもそも、実は、和名;ホソバタイセイは「板藍根」といって漢方の生薬です。
 http://www.futabakanpo.co.jp/lineup/banran/banran.htm 参照。
「板藍根茶」として根を煎じたものが健康食品として以前から売られていますし、顆粒のサプリメントも有ります。
 ただグルコブランシシンの濃度が標準化されたサプリメントは、国内で通常売られているものについては、寡聞にしてまだ知りません。効果が確認された以上、今後は必要とされるでしょう。
 

【追記】
 前立腺癌に効果のあるトマトとブロッコリの話から、ブロッコリと同じアブラナ科に属すホソバタイセイ中のグルコブラシシン[glucobrassicin]という抗癌物質が乳癌に効くということで、話が反れたようにお思いの方もいらしたでしょうし、前立腺癌にもこの物質も効果があるのか(他のカロテノイド類との相乗効果で)とお思いになった方もいらっしゃるでしょう。

 ところが、Nature(vol.446, no.7133;316-319)誌に、次のような記事が載りました。

腫瘍:フィンランドの癌家系で反復性にみられるPALB2の変異
 A recurrent mutation in PALB2 in Finnish cancer families

 BRCA1、BRCA2などの既知の感受性遺伝子で説明できるのは、検出できる乳癌の遺伝的素因の半分にも満たない。したがって、ほかの関連遺伝子はまだ発見されていない。
 最近、新たなBRCA2結合タンパク質であるPALB2が同定された。BRCA2とPALB2の会合は、特定の重要なDNA損傷応答機能にも、BRCA2の腫瘍抑制活性にも必須である。
 本論文で我々は、フィンランドでのPALB2の変異のスクリーニングにより、先祖が一致する対照集団に比べて家族性の乳癌患者では、c.1592delTというフレームシフト変異が有意に高い頻度で存在することを示す。この変異が原因でつくられる短縮型PALB2タンパク質はBRCA2結合能をほとんど保持しておらず、DNA相同組み換えやクロスリンク修復を行えなかった。
 さらに、任意抽出の乳癌患者を対象にc.1592delT変異のスクリーニングを行ったところ、対照群と比較しておよそ4倍も高い割合でこの変異が認められた。この変異をもった任意抽出の患者の大部分は、家族性の病気進行パターンを示した。さらに、c.1592delT短縮変異対立遺伝子が分離を示す、多世代にわたる前立腺癌家系も1つ見つかった。
 これらの結果は、PALB2が乳癌の感受性遺伝子であり、相応の変異型では家族性の前立腺癌の発生につながる可能性もあることを示している

 ……というもののです。遺伝性素因としての新たな乳癌遺伝子PALB2は、その発現の形態によっては、乳癌の発症にも前立腺癌の発症にも関わるということが分かります。

 従って、アブラナ科の植物が抗癌作用があるということは、グルコブラシシンなり、その他のマルチ・カロテン類なりが、その遺伝子のON/OFFに関わるのだという蓋然性が高くなりますし、そのスクリーニングをして創薬研究に生かせるのではないか、という私の思いつきを側面補強する結果だと思われます。

【参考書】
吉川敏一『フラボノイドの医学』(講談社サイエンティフィク)


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